我が街、五反田

今夜の『出没!アド街ック天国』は五反田ですって。生まれてすぐから8歳まで住んでいたのが五反田なので(今でも本籍はそっち)、私の中で故郷といったら五反田、という部分がある。藤沢生まれの横浜在住で高校まではずっと神奈川だったので、人には「神奈川県出身」と言っているし自分でもそう思っているが、懐かしさを感じる街、といったら五反田である。あの汚い目黒川の異臭*1も懐かしい。ところでベスト10を予想しようと思ったのだけれど、1位が思い浮かばない。何だろう、あのへんに再開発とかで新しいスポットとかって出来てたっけ? まさか風俗ってこたぁねぇよな。「(ジャン!)抜きつ抜かれつです。第1位は、風俗。五反田は店舗型、無店舗型併せて50件の風俗店がしのぎを削る、まさに風俗激戦区。中でもここ、『ドスケベ痴女クラブ ミスティー』のイチゴちゃんは…」。
それはそれで見てみたいな、『タモリ倶楽部』みたいで。とりあえず今夜はホノルルで見られないから録画しておくか。ちなみに五反田が風俗街ってのを知ったのは引っ越してだいぶ経ってからですよ、念のため。

*1:信じられないだろうが私が子供のころはまだ河川整備が行き届いていなかったので、台風が来ると時々氾濫した。あのどうしようもない汚い水が容赦なく自宅に床上浸水で入ってきて参ったものだった。

はぁじまぁるよぉ

というわけでベスト10入り謝恩企画「十題話」。プロポーズを題材にした小説を、皆さんからいただいた10個のお題を折り込みながら書いていく、という企画です。お題は以下のとおり。
高橋ユニオンズ  ②解散総選挙  ③ジャンパイア  ④38度線  ⑤一向一揆  ⑥イッテルビウム  ⑦エロ事師  ⑧無防備都市  ⑨たけしの挑戦状  ⑩どこでもドア
ではいよいよ書いていきます。タイトルは『君の左の薬指まで』。さぁ、果たして私はちゃんと全部お題を消化してお話を書き終えることができるのか? はじまりはじまり〜(お題の消化は順不同です)。

君の左の薬指まで①

「大事なことは二つしかないんだぞ。わかってるんだろ?」
レッカはそういうと、生あくびをひとつした。昇りたての朝日が車窓越しに不躾に顔を照らしたので、僕達は少し目をすぼめた。土曜日の始発電車は、徹夜明けで脂ぎった顔の僕とレッカを乗せて運んでいく。昨日は、大学卒業後も連絡を取り合っている友達と、隔月で行っている徹マン(「雀ボリー」と僕らは呼んでいた)があり、僕らはその朝帰り中、というわけだった。
「二つ、ってなんだよ」。僕は前を向いたまま、目の前を飛ばされていく古びたアパートの屋根に目をやったまま訊き返した。
「決まってるじゃないか。お前の気持ちと、彼女の気持ちだよ」。レッカも僕の方は向かずに前を向き、車窓を横切っていく中学校の校庭を睨みながら言った。
そのとおりだ。そんなことはわかりきっている。
レッカは高校・大学時代の僕の友人だ。付属高校から同じ大学に進んだので、もう付き合いは十二年になる。大学では僕がクイズ研で、彼は野球サークルに入っていた。チームではキャッチャーを務め、打率はいまいちながら一発がでれば大きかったため、我々仲間内ではかつての高橋ユニオンズの選手の名を取って「レッカ」と呼んでいた。本人も満更ではなさそうで、以来九年間、そう呼ばれている。ちなみに彼は顔がチンパンジーに似ていて、それを指摘すると顔を真っ赤にして怒るが、ユニオンズのレッカのファーストネームが「サル」であることはまだ知らないようである。
ともあれ、そんな腐れ縁の彼とはなんでも相談し合える仲だった。だから今も、僕は割合重大な人生の選択についての相談をレッカにしたところだった。
「本当に結婚したいんだろ、瞳ちゃんと」
相談とは恋人の瞳のことだった。大学四年の秋、互いに就職が決まった頃から付き合い始めたからそろそろ丸六年になる、同い年の同級生だ。彼女は母校である大学の事務職員として、僕は母校の高校で政経の教員として働いている。務め出して五年、そろそろ彼女との結婚を僕は考えていた。
「…うん」。間延びした車内アナウンスが、そろそろ降りるべき駅が近づいていることを告げた。
「向こうは、結婚したいような感じはあるのか?」
「ないことはないはずだけど、具体的な話は何も出てない」
「だから、プロポーズするのが怖いっていうのか?」
一年前に結婚したばかりのレッカは、経験者としての先輩風を吹かせたそうだった。
「…怖いというか。したことないもんだから、いつ、どんな風に、どういうタイミングでしたものかわからないし、それに万一、断られたら、って考えると二の足を踏むんだよ」
「ふぅん、クイズ番組に出てポンポン正解する度胸はあるのにねぇ」
レッカはいつも二言目にはそういって僕をからかう。僕は首を振ってため息をついた。レッカは少し嬉しそうにニヤニヤ笑うと、「で、いつするのか決めたのか、プロポーズ?」と言って僕の顔を覗き込んだ。
「降りるぞ」
僕はそれを交わすと、レッカを促して電車を降りた。僕はここから帰宅し、レッカは乗り換える。すこし肌寒い早朝のホームには、僕達しかいなかった。線路沿いのフェンス越しに、動き始めたばかりの朝の駅前ロータリーが見える。バスが、身震いしながら入ってきた。
「まだ、決めていないんだ。いつ、どこで、どんなふうにするかなんて。ただ、『結婚したい』っていう気持ちが先にあるだけなんだよ」
僕はそういって、伸び上がった。日差しが眩しかった。
「とにかく、するときは必ず前もって俺に言えよ、ちゃんと応援してやるから。あと、質問があったらいつでも連絡しろよな。必ず」
レッカも伸び上がり、小指の先で目頭を掻いた。
「ありがとう」。レッカはそういう奴なのだった。
「まぁな。あれ、お前、牌はどうした?」。鞄を一つしか持っていない僕の手元を見て、レッカが言った。
「麻雀牌…、あっ!」
僕が忘れ物に気付いた時、網棚に麻雀牌を乗せて電車がホームを離れていった。僕とレッカは顔を見合わせた。
茶太さぁ、お前がドン臭いのはいまに始まったことじゃないけど、プロポーズはちゃんと決めろよな。しっかりしろよ」。レッカはそういうと、僕の背中を叩き、乗り換え線のホームに向かっていった。僕は忘れ物をしたことを告げるために、駅員室へ歩いていった。徹夜明けの疲れた体はいつもより重く、僕は自分を引きずるようにして一歩ずつ歩いた。(つづく)

ってやっぱり

一回じゃ終わらないじゃん、しかもこれだけ書いて消化できたお題、二つだけじゃん(涙)。大丈夫かなぁ、マジで。とりあえず、感想や意見があればぜひ聞かせてください。完結は待たなくていいです。しないかもしれないから(←オイ!)。それによってストーリーも微妙に変わる可能性があるかも。よろしくお願いする。



うわぁ、今週の『タモリ倶楽部』の「超ピンポイント! マニアックな図鑑の世界」めっちゃ面白ぇ〜。人気blogランキング