都市伝説(?)の真相

よく、カップルや恋愛に関して都市伝説的に語り継がれているジンクスがある。たとえば井の頭公園でボートに乗るカップルは別れる」とか「最初のデートでディズニーランドに行くカップルは別れる」とかの話を耳にしたことはないだろうか。この「井の頭公園」とか「ディズニーランド」というのは、各地方によって「八木山ベニーランド」とか「志摩スペイン村」とか「フェスティバルゲート」とか「スペースワールド」とかに取って代わるのかもしれないが、そういう「どこそこに行くと別れる」的な都市伝説は結構あるものらしい。そういえば「松本城に行くと別れる」という話を聞いたこともある。信じようと信じまいと、だが、もしかしたらあなたも長らく付き合った彼女と別れた後「あっ、そういえば俺、8年ぐらい前に一緒に井の頭公園行っちゃったわ」と臍を噛むことがあるかもしれない、って「『焼きジャガイモに味噌をつけて食べると死ぬ』事件」みたいなことを言ってしまった。
で、都市伝説はともかく多くの迷信的な言説には、一応の合理的説明がつくことがある。たとえば「夜、爪を切ると親の死に目に会えない」*1というのは、昔は照明器具も発達していなかったから、刃物を使う爪切りを、暗い夜にしたらケガしてしまうかもしれなくて危ないよ、という意味が込められている、という。で、先に挙げた都市伝説「最初のデートでディズニーランドに行くと別れる」というのはこういうことらしい。最初のデートはまだお互いぎこちなく、どういう話題を出していいかわからないよって会話が続きにくいしはずみにくいしかしディズニーのアトラクションときたら長時間並ぶものばかりなので間が持たない④「なんかこの人、意外につまんなくない?」と思われて別れる。ふぅむ、なるほど。「風が吹けば…」みたいな気がしないでもないが、一応リクツは通っている。
さて、私が昔からずっと気になっているのが、別れる別れないの話ではないのだが焼肉屋に2人だけで行く男女はデキている」という都市伝説(?)である。これ、かなり昔から言われているが、何かリクツでもあるのだろうか。だって私、まるっきり男女の関係にない、単なる会社の先輩(女性)と2人で焼肉屋に行ったことあるよ? で、よせばいいのにチラっとその都市伝説が頭をよぎって軽くドキドキしてしまった結果、だいぶキョドったよ? なんなんでしょうね、アレは。いつ頃、誰が言い出したものなんでしょうか。
なんだ、ナムルとかクッパという語感がちょっとエロいからなのか。ユッケなんていういやらしいものを注文し、あの黄色く盛り上がった卵黄を箸で突き崩して、紅い肉にじわじわと絡ませていき、トロトロの黄身が滴りそうなそれを男が見ている前で、口の中に入れてクチャクチャ噛むなんていう行為がちょいとしたプレイだからなのか。燃え盛る焼き網に肉を置き、熱せられた肉片が身をよじり肉汁を滴らせていくのを箸でつつき回し、ひっくり返したり戻したりというのが性行為のメタファーだからか。なんてなことを以前、『恨ミシュラン』で神足裕司が書いてたような書いてなかったような気がするがどうだったか。
しかし、考えてみれば最近はあまりこの説を聞かない。聞くにしても、軽く冗談めかして、ベタなネタのひとつも敢えて言ってみちゃおうかな的文脈でおっさんが口にするだけ、ぐらいのような気がする。それはやはり、かつてに比べて「焼肉」という食事の持つ意味が軽くなってきたからなのだろうか。焼肉が相応に高価であり、しかし寿司やふぐなどに比べて枯れておらず、またすっぽんに比べて露骨でもない、という絶妙なディナーであったからこそ、あの都市伝説には有無を言わせぬ説得力があり、またエロスがあった。食事の後に待ち受けているべきところのイベントを十分に連想させ、予感させる何かを「焼肉」は持っていたのだ。だとしたら「牛角」は焼肉の価格だけではなく、焼肉が男女間において位置づけられていたスペシャリティも破壊してしまったというのだろうか。
そういえば「牛角」にはユッケがない。ここらへんにナゾをとく鍵があるのかもしれない(あるの?)。
皆さんはどう思いますか? ご意見、お待ちしております。



早く気軽に牛タンを食えるようにならないかな。人気blogランキング

*1:ちなみにこの「親の死に目に会えない」というのを、私はずっと「親が死ぬ時に間に合わず、看取れない」という意味だと思っていたが、そうではなくて「親より先に死ぬ」という意味だ、というのを聞いたことがある。確かに親より先に死んでしまっては「親の死に目」には会えないけど…。ホントのところ、どうなんだ?