コトバの距離

昨日、知人の女性(年下)からメールをもらった。
そのメールの文面は、彼女の出身地の方言で書かれていた。私がしつこく方言、方言というので気を遣ってくれたのだろう。初めて会った時、勝手に関東出身の人だと思い込んでいたので、お国言葉がある、というのがなかなか新鮮に感じられた。
「あえて方言を使ってみるが、どうしても方言だと敬語が使い難くて弱る。私の地元の方言には敬語表現がないかもしれない」といった意味のことが方言で書かれていた。敬語と方言という2つの言語文化の間でのバランスが悩ましいということなのだ。図らずも日本語の奥深さと難しさを思い知らされたが、ともあれ方言で書かれたメール(ただし女性からのもの限定)をいただくのは大変に嬉しい。その日一日、なんとなくよい気分で過ごせるのである(なんと安上がりなことよ)。得した気分だ。そんなわけでここをご覧の女性の方、私にメールをくださる機会があるならばぜひ方言でどうぞ。
ところで迂闊にも気づかなかったけれど、私は方言の使用というのが「標準語のガードが崩れ、その人が属していた地元の言葉という『素』が出ること」に魅力があると思っていたのだが、よく考えてみたら「敬語表現の少なさ」というのもその魅力ではなかろうか。浅学なのでよくわからないが、とりあえず方言での敬語表現といったら関西の「〜はる、〜しはる」ぐらいしか私には思いつかない(他にもある、うちの地方ではこう言っているなどの情報があればお待ちしています)。敬語表現の少なさというのは、話す人との距離の近さということでもある。同じ地元の者同士にとっては、それは肩肘張らない仲間であることの確認であるし、そうでない者にとっては、それはエトランゼが旅先で触れた地元の人の飾らない優しさのようなものである。どちらにせよ、何かほっとさせられることだ。
っていうかそろそろ誰かやらねぇかなぁ、「方言カフェ」。メイド喫茶があんなに当たったんだから、絶対イケるって。私いま、さりげなくデカいビジネスチャンスを示唆してたりしますよ。地方出身の女子大生にはいいバイトになるだろうし、私みたいな普通の方言好きと、ふと地元の方言を聞きたくなった地方出身者の両方に受けるんだから。現代の「上野ステエション」ですよ。啄木ですよ。「故郷の訛り懐かし秋葉原 方言カフェにそを聞きにいく」ですよ。ってやっぱ出店するならアキバなの? よくわかんないけど。
どんなサービスがいいかなぁ。とりあえず店員の女の子は名札に出身地は書いとくよね。で、メイド喫茶ではメイドが「お帰りなさいませ、ご主人様」とか言うらしいが、言うまでもなく「お帰りなさい感」は方言カフェの方が数百倍デカい。よって第一声は「おかえりんせぇ」(但馬の方言らしい)とか「けったかねー」(新潟県南蒲原郡の方言らしい)とかそういった感じでキマリだ。メイド喫茶みたいに下らないゲームとかはいらないが、昔話を読むなんてのはアリだろう。子供の頃から慣れ親しんだ懐かしい話を、子供の頃から慣れ親しんだ懐かしい言葉で聞かされるのが至福のひとときでなくてなんであろうってなもんや三度笠
他にも「こんなサービスがほしい」「こんな企画もどうか」というご意見があれば、ぜひ出していただきたい。いくつかよいアイディアが出て具体化したら、もう私がやる。出資者を探す。『マネーの虎』に出る。加藤和也に金を出させる。本気だぞ、4割がた(←少なっ)。
ところで機を見るに敏というか節操がないというか、AV業界・風俗業界では方言を売りにした作品やお店、サービスなども既にあるやに仄聞する。ちょっと探してみたらこんなのを発見(アダルトな内容が含まれていますので、クリックなさる方はご注意)。
http://www.area21jp.com/dinfo/SDDM-694.html
……これはちょっと、どうかと思うよ…。



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