さいきんのじょしこうせい
今日夕方、南北線直通の東急目黒線に乗っていた。目黒から乗ったのだが、それ以前から乗っていた女子高生３人組が、私の前の座席に座っていた。今どき風に遊んでそうでもなく、特別カワイイわけでもブサイクなわけでもない、どちらかというとおとなしくて地味な感じの３人だった。イメージだけど、「高校生クイズ」の地方の県代表チームにいそうな雰囲気の女の子たちだ。
音楽を聴きながらぼーっと彼女たちを見るともなく眺めていると、それぞれが財布や小さなポーチの中から何やら取り出した。そして、取り出したそれをためつすがめつしたり、互いに交換し合ってみたり、相手のそれをのぞき込んだりしている。ちょうど、プリクラを見せ合ったりするのとその行動は似ていた。しかし、彼女たちが手に持っているものは、プリクラほどファンシーでカラフルなものではなく、むしろその対極にあるようなものだった。
彼女たちの手に握られていたものはレシートの束だった。そう、コンビニとかスーパーで買い物のあとにもらえる、あの何の変哲もないレシートである。それを彼女たちは大事そうに取り出し、見せ合って交換し合っていたのだ。
な〜ぜ〜？（←『まさかのミステリー』風）
私は考えた。賢人じゃないけど考えた。頑張って考えて、いくつかの仮説を打ち立てた。電車は私と女子高生とレシートを乗せてゴトゴトと走り続けていた。
①文化祭か何かの買い出しに行った
１月に文化祭？ それに、量がハンパでない。だってヘタな文庫本より余裕で厚いくらいいっぱい持ってるんだもの。全部で100枚はゆうにあったと思しい。それも一人だけじゃなく。そんなに買わないだろ、文化祭で。
②レシートを何枚か集めると特典がある、というキャンペーンをしているお店がある
よく見てみると、そのレシートは大きさや形がまちまちだったりして、同一の店のものではなかった。さすがにどんな店のレシートなのかまでは視認できなかったけれど、何かある特定の店のものを目的があって集めているふうではなかった。
③確定申告
現実的にあるとすればこれ？ でも普通の女子高生だったし、そんなに収入があるとは思えなかったなぁ。もしかしてコミケ同人とかですんげぇ荒稼ぎしているような子たちだったりするのかもしれないけど。
④最近、レシートを集めるのが女子高生の間でブーム
もう10歳以上も年が違う女子高生の感覚は、私なんかの常識では計り知れない。もしかして、私が知らない間にレシート集めがいま女子高生の間でアツいのかもしれない。私が小学生の頃、日本酒の酒ブタを集めるのが無闇に流行ったように。で、我々には理解不可能な人気のレシートがあったり、コレクションのヒエラルキーがあったりするのかもしれない。あの店のはプレミアがつく、とかね。「なんかー、『ツルハドラッグ』のレシート、ヤバくね？」「なんか『おもカワ』じゃね？」みたいなことを女子高生は日々言い合っては、ポケベルが鳴ったり鳴らなかったりして、手首にミサンガ、足首にルーズソックスで渋谷を闊歩し、「たまごっち」買う金欲しさに売春をしているのだ。すいません、90年代半ばまでで頭の中、止まってるもんで。ところで切手収集家はフィラテリスト、コイン収集家はニュミズマチスト、絵葉書収集家をデルティオロジストなどというが、レシート収集家は何ていうのかな。やっぱレイシストかな。ってドサクサに紛れて危険なこと言ってみちった。ドキドキ。
で、その女子高生たちは私にレシートの謎を解き明かしてもくれずに、大岡山で降りていった。不可解なひとときであった。その後、私は終点の武蔵小杉で東横線に乗り換えたのだが、その車内には普通にかわいい感じの美白系女子高生が、席に座って『週刊ポスト』を読みふけっていた。なぜ？ なぜ女子高生が『ポスト』なん？ そんなに「ビートたけしの21世紀毒談」が読みたかったん？ もう私にはわからない。東急ってこんなに不可思議な鉄道会社であっただろうか。でもそんな東急に私は、アシタモー、ノルカダー！（←言いたかっただけ）
