クールビズ以前のこと

いやぁ、暑いね。夏だね。♪笑顔が似合う〜 楽しくなる〜 とTUBEの『夏だね』を思わず口ずさんでみるよね。別にTUBE好きじゃないけどね。
こんな暑いさ中に、スーツにネクタイとかほんとムリだよね。やっぱり夏は、一億総クールビズだよね。ていうかいまのクールビズってなんかヌルいよね。ノーネクタイぐらいじゃもう日本の夏はしのぎ切れないよね。どうせやるならもっとドラスティックにやるべきだよね。
だから夏はね、Tシャツ。女性はキャミ、あるいはタンクトップ。そして短パン。おまけにサンダル。これ。もうこれだね。「奨励」ではなく「義務」で。やらなきゃ罰則。永田町も霞ヶ関もみんなこれ。全国津々浦々「超・クールビズ」で。高級老舗旅館だって女将がTシャツでお出迎えだ。もう薄着であればあるほどエラいの。社員が全員、たまのドラムみたいな格好している企業なんて表彰モノなの。国から補助金とか出るの。キャッチコピーは「地球のために、いま半裸」。イメージキャラクターはタンクトップが似合う人で。ベスト・タンクトップニストで。じゃあ誰? コニタン? ま、とりあえず暫定でコニタンに頑張ってもらう。
って枕が長くなったな(↑「枕」だったの?)。そんな夏のお話。もうだんだん記憶がおぼろげになりつつある、私が会社員だった頃のこと。なんとなんと私が勤めていた会社は、終業時間になると否応なしにエアコンが止まる(他の会社はそんなことあるの? お役所とかってそうなの?)。終業のチャイムが鳴ると「プシュ〜」という音とともに全館エアコンが切れるのだ。そんなときはとっとと定時で帰るに限るのだが、なかなかそうもいかないもので。冬はともかく私としては夏の残業は地獄だった。
私が新人だった年の夏のある日。なかなか仕事にカタがつかず、テンパりながら残業をしていた。もう部内には私ともう一人、クソ真面目でイヤミで、いつもネチネチと細かいことばっかり言う、うっとうしい係長しか残っていなかった。残業なんてもともと楽しくないものだけれど、これじゃ輪をかけて楽しくない。
時計は22時を回ったが、ちっともメドが立たず、おまけに暑いもんだからもう汗ダラダラで仕事をしていた。汗なんだかなんなんだかわからない「茶太汁」も分泌され始め、アタマからは湯気も出だした頃、私のデスクにトン、と缶ビールが置かれた。
ふと見ると、係長が私の傍らに立っていた。
意味を量りかねてビールと係長を交互に見ていると、無言で「まぁ飲め」というジェスチャーをする。部内の冷蔵庫には、部の宴会で余った酒類が常時ストックされており、よく課長連中などが残業がひと段落したときにチビチビ飲んでいた。それを係長は出してきたのだ。
「あまり根を詰めても仕方ないから、それでも飲んで今日のところは帰れ」という意味だったのだろう。私は「ありがとうございます」と礼を言って自分のデスクで缶ビールを飲んだ。係長も自分のデスクで静かにビールを飲んでいた。
社内で煙たがられていて、私自身もあまり愉快な思い出のない係長だったけれど、このことは未だに覚えている。私自身がネクタイをしめてオフィスで残業をする、なんてことはもう今後ないとは思うけれど、真夏の夜に、まだ灯りがともっているオフィス街を歩く機会などがあると、あのクソ暑い中の残業と、係長の出してくれたビールを思い出す。
スーパードライだったからあんまりおいしくなかったけど。




残業中、課長連長に部長室での酒盛りにつき合わされたりとかしたなぁ。人気blogランキング