白銀は招くよ(私以外を)

12月の声を聞き、いよいよ本格的なスキーシーズンの到来である。私は学生時代は、クイズサークルの合宿で年に一度はスキーに行っていた(といっても、スキーよりもクイズのほうがメインなのだが)。だが、大学を卒業してからは一度も冬場にスキー場に行ったことはない。
だって私、スキー全くできないんだもの。クイズの合宿で行く必要がなくなって以来、私は頑なにスキーというものを拒否し続けて生きている。
しかし、私の周りの人はいろいろな言葉を弄して、「私をスキーに連れてって」くれようとした。
「そんなもん、すぐできるようになるよ」。
なりません。人生で、都合5回ぐらいはスキーに一応行きましたが、未だに板のつけ方もようわかりません。
「ちょっとムリヤリにでも上の方に行って、転びながら降りてくれば自然とできるようになるよ」
ウソです。その言葉を信じて。みんなに恐る恐るついて行き、リアルで昭和のマンガに出てくるような雪ダルマ状態になってゲレンデを転げ落ちていき、「お前がそこまでできないとは思わなかった。本当にごめん」と謝罪された私が言うんですから間違いない。
「じゃあ、私が教えてあげるから、行こうよ」
ムリです。「人からものを教わる」のが、ものごっついヘタクソな私です。今までに、自分がやってみて多少なりともモノになったこと(ごくわずかしかないけど)は全て独学です。
「そんなら、俺たちはスキーしてるから、一斗は宿で温泉でも入って酒飲んでればいいじゃん」
イヤです。なんですか、その羞恥プレイは。夕飯の席で、みんなの楽しそうなゲレンデ珍プレー・好プレー話に加われず、ひとり野沢菜をボソボソ食うこの虚しさが、スキーのできる高等人類にわかりますか?
以前どこかで書きましたが、私は実際、できることの少ない人間です。ごく少数の「人よりちょっとだけよくできること」(しかも、それができなかったところで何の不都合もないこと)と、多くの「人並みに出来ないこと」がある人間なのです。そして、スキーは後者なのです。
ママ、痛いよ。また転んじゃった…。あれ、僕の左側の板が見当たらない。あっ、ずうっと下のほうに滑っていっちゃってる。ははははは、みんなが無様な僕を笑ってら。一緒に来た仲間もあきれてる。ママ、慣れない靴を履いて板をつけてるから、内股が痛いよ。今日来てから、ひとつもまともに滑れてないよ。僕、ダメな子なのかな? パパとママの本当の子じゃないのかな? ああ、家に帰ってママが焼いてくれたクッキーが食べたいな。あったかいミルクも飲みたいな。なのに、なのに僕は、真っ白いゲレンデに、車に轢かれたガマガエルみたいに無様にひっくり返ってる。雪が降りしきるよ。どんどん僕の上に降り積むんだ。このまま、みっともない僕の姿を隠しておくれ。ママ、僕、眠くなっちゃったんだ。遠くで吹雪の音が聴こえるんだ…。
昨今、「若者のスキー離れ」が言われていますが、アラフォーの我々世代としては、スキーは学生のたしなみ、否、必須科目ぐらいには言われていました。だから、テキトーにやれば誰でも滑れるようになるんだろう、他のみんなもできてるし、と思っていた私は打ちのめされたわけですが。自分よりドンくさいと秘かに思ってたやつまでがフツーに滑れていたときの敗北感たるや。
というわけで読者様にアンケートです。私みたいにスキーがまるでできない、という方、いらっしゃいますか? っていうか、スキーできる人はどこでどんな風にして覚えたんでしょうねぇ。私、どっかに身体的な欠陥でもあるのかしら。



今でいうところの「リア充」のスポーツだものな。人気blogランキング