日本人が住めない日本

明日、2月7日は北方領土の日です。ご存知でしたでしょうか。そして、今月は「北方領土返還運動全国強調月間」です。
4歳か5歳の頃、初めてこのCMを観て、親に「『ほっぽーりょーど』って何?」と質問したのが、私が北方領土問題というものを知るきっかけだったと思います。

領土というものが絶対・自明のものではなく、その領有や帰属に争いがあるんだ、ということが当時の私には不思議でした。そして、そういったことを、政府が広報している・する必要があるということも(ちなみに私は、「政府広報大好き少年」でした)。
しかし、父親から北方領土問題について簡単に教えられたとき、「じゃあなんであのCMは、『ソ連のせいで北方領土が取られたまんまだから返せ』って、もっと強いトーンで訴えないのかな」と漠然と思いました。さすがに当時の私にも、「日本固有の領土です」というのは、奥歯に物の挟まったような言い方だなと感じられたのです。
で、それ以降、私は政府広報北方領土関係のCMをチェックするようになりました。大学4年のときは就活で、北方領土問題対策協会に資料請求したぐらいです(半ば興味本位でしたが。ちなみに「新卒の採用予定はありません」という回答でした)
しかしいま一つ、政府が北方領土問題について本気・本腰で取り組んでいるようには感じられず、政府広報のCMも、拉致問題などはよく目にするのに、北方領土問題のそれは、あまり目にすることがなくなっていった(ように少なくとも私には思えた)のでした。
ところが近年、竹島尖閣諸島の問題から、領土というものについての国民の意識や世論が変わってきたのか、北方領土のCMも、様子やトーンが変化してきたように感じられました。
たとえばこれ。

文言こそ、「歴史的にも日本固有の領土です」とマイルドなままですが、より具体的に、「かつて日本人が住んでいた」ということ、そして現在は日本人が住めなくなってしまっていることをアピールしています。
そして2年前、「政府広報として」TVでオンエアされたCMがこちら。
http://www.dailymotion.com/video/xxa9u6_%E5%8C%97%E6%96%B9%E9%A0%98%E5%9C%9F%E3%81%AE%E7%81%AF_news
「しかし、北方領土には、自由に行くことも暮らすこともできません(ロシアにより、法的根拠なく占拠されています)と、はっきり述べています。30年前の、「日本固有の領土です」という、「うん。で?」と流されてしまうようなあいまいなトーンではなくなっています。
さすが安倍政権、文字通り「日本を取り戻す」気だ、と思ったのも束の間。なんと! この動画は現在、政府広報を流す「政府インターネットTV」で閲覧できない状態になっており、Youtubeに上がっていた動画も削除されてしまいました(なので、Dailymotion動画を貼ったのですが)。理由は私にはわかりません。何かクレームがついたのでしょうか。さすがに表現的に踏み込み過ぎたということなのでしょうか。それが理由か、昨年のそれは、再びあいまいなトーンに戻っています。

せいぜい山本一太が出てきてアピールする程度。そして、現在オンエア中の、最新の政府広報がこちら。
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg11231.html?t=116&a=1
むろん、北方領土問題以外にも課題や問題は山積しているわけですが、またしても、「本気で解決する気があるのか」という感じのCMになってしまったのは少し残念です。北方領土の一日も早い返還を願って、来年のCMに期待したいと思います。



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