五反田も変わったものだ

というわけで『出没!アド街ック天国』五反田、1位は「キャッツシアター」でした。ってそんなもん、私が住んでた頃はなかったもんよ。2位・3位のTOCゆうぽうとはほぼ予想通りだったのですけれどね。あ、さすがに風俗はランクインしてませんでした。あと8位のセメダイン本社は懐かしかったなぁ、あの五反田駅から見えるネオンサインが子供心に印象に残ってたものでしたねぇ。
おっと、そうそう! いつも1位発表のあとぐらいにやってる「○○コレクション」ですよ。「五反田っつったら『そういうお仕事』の女性も結構いるけど、大丈夫なのかな」と思ってましたところ、なんと今回は「清泉女子大学コレクション」に!*1 今まで女子大のある街を取り上げたときでも、その大学限定で「○○コレクション」をやったって記憶がないので異例のこと。やはり「そういうお仕事」の方に関する微妙な配慮が働いたのかもしれませんね。深いぜ、五反田。

*1:清泉女子大は今回4位にランクイン。

しかたないので

ジャンパイア」、もちろん字義通りの形で折り込むこともできたのですが、いくつか疑義が出ているので、字義どおりで次回以降もう一回使います。
お題を字義どおり使うより、あの形で使うほうがなんぼか難しいはずでして、その言葉遊びのセンスを評価していただけるかなぁ、と思ったらまるでされずで、軽くガッカリです。まぁ、のっけからやったのであの評価であって、後半にあの形で出していれば違っていたのかもしれませんが。

第2話・予告

奇跡的に早起きでき、思ったより早く書けたのでアップします。その前におさらい。

既出お題:①高橋ユニオンズ
未出お題:②解散総選挙 ③ジャンパイア ④38度線 ⑤一向一揆 ⑥イッテルビウム ⑦エロ事師 ⑧無防備都市 ⑨たけしの挑戦状 ⑩どこでもドア

では、第2話、始まるよー。

君の左の薬指まで②

日曜の夜、翌日の授業の下準備を終えてメールをチェックすると、レッカからメールが届いていた。「雀ボリー」に参加した仲間に、当日の成績・点数とともに一斉送信されており、珍しく一人勝ちした彼のVサインの写真が添付されていた。メールの末尾にレッカはこんなことを書いていた。
「P.S  近々、茶太がある重大な決意を持って行動を起こします。みんなで応援してやりましょう」
相談したとき、あれほどみんなには秘密にしておくように釘を刺したのに、まったく。
「レッカも言うとおり、私こと茶太は明日、国会へ一向一揆をしかけます。私に賛同する、国政に不満のある皆様は釘バット持参のうえ、明日の朝9時半までにアルタ前に集合してください。お待ちしてます」
僕はそう書いてメールを返信した。もちろん、誰も本気にはしないだろう。
こんな軽口を言うように、すっとプロポーズができるのだとしたら。そしてこんな軽口みたいに、瞳に本気にされなかったとしたら…。 



月曜日に憂鬱なのは大人だけではない。生徒のテンションも上がらないのだ。教室の中は気だるい空気に包まれていて、授業にも身が入っていない。だれた生徒の注意を喚起するために僕は質問した。
「では、内閣不信任案が可決された場合の対応は何だった? 2つあったよな。一つは、内閣総辞職だけれど、もう一つは…」。
生徒の一人を指した。彼は「解散総選挙」と答えた。
「だな。そんな簡単なことだけ訊いても失礼だから、もう一つ訊いてみよう。その総辞職か総選挙は、不信任案可決から何日以内に行うんだ?」
生徒は考えた末、「40日」と答えた。僕は笑った。
「おいおい、そんなに悠長に待っていられないだろう。でも惜しい、衆議院の解散後から総選挙を行うのが40日だな。このへん、事項と数字をちゃんとセットでしっかり覚えておかないとダメだぞ。ややこしいけどな」
自分で言った言葉に、自分で引っかかってしまった。そうだ、そんなに悠長に待ってなんていられない。誰が? 僕が? 彼女が? いや、違う。そのどれでもない何かが、きっと僕達を悠長には待ってくれないだろう。気持ちは固まっている。だから、それを早く伝えなくてはならない。40日なんてことを言っている場合ではないのだ。でもどうやって気持ちを伝える? それがわからない。けど悠長なことは言っていられない…。エッシャーの『上昇と下降』のようなループに嵌まり込む。
「では、今から読み上げる箇所にアンダーラインを引け。いいか、第69条、内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し…」
ループを断ち切るように、僕は声を張り上げた。生徒が、苦笑しているような気がした。



その夜、僕が家でビールを飲みながらTVを観ていると、電話が鳴った。クイズ研時代の友人の深川からだった。
「よう、元気?」。ぶっきらぼうな喋り方だが、深川は不思議と、僕が落ち込んだり悩んだりしている頃合を見計らうようにいつも連絡をくれるので、その度に僕は相談に乗ってもらう。ありがたい奴だ。
「ああ、元気だよ。どうしたの、久しぶりじゃん」
「あのさぁ、いま『無防備都市』って問題作ってて、ロッセリーニの。フリつけようと思ったんだよ。で、『西部警察 PartⅠ』の第1話・第2話のサブタイトルが「無防備都市」っていうんだけど、これって有名?」
「知らないよ」
いつものことだが、突拍子もないことを考えているやつだ。クイズは学生の頃からかなり強く、僕はもう一線を退いてしまったが、深川はまだ現役でいる。時折、TVのクイズ番組で見かける。
「そうか。さすがにムリがあるかな、とは思ったけど」
僕は電話口でグラスにまだ四分の一ほど残っているビールを煽って、深川に切り出した。
「あのさぁ、俺もお前に話があるんだけど、いま、時間いいかな?」
「いいよ」
「実は俺…、瞳と結婚しようと思ってるんだ」
「瞳って、あの瞳ちゃん?」
「うん」
「そうか、もう何年だ、6年ぐらいになるのか。そろそろいい時期かもな」
「でも、恥ずかしい話だけど、いつ、どんな風に、どういう手順でプロポーズをしたものか、わからないんだ」
「……GoogleとかYahooで検索はした?」
「真面目に言ってるんだよ」。僕は苛立ってTVのスイッチをリモコンで消した。
「うーん、それは素敵なプロポーズの言葉とかそういうこと?」
「それもある。なぁ、たとえばお前だったら、どんなシチュエーションで、どんなふうにプロポーズする?」。深川はクイズもすごいが妄想癖もすごく、「あま〜い言葉」を考えるのはお手のものだ。アドリブにも強い。ちょっとした「エロ事師」である。妄想の中でだけ、ではあるが。
「そんなのしたことないからわからないなぁ。だって本当にうまくいくときだったら肛門に痔の薬を塗ってもらってるときだってOKされるだろうし、ダメなときはキャンティで高いワイン開けたってダメなんだよ」
「そんな身も蓋もないこと言うなよ。頼むよ、本当に参考にしたいんだ」
電話の向こうで深川は少し考えていたようだ。
「そうだなぁ、じゃあたとえば、こんなのはどうだろう」。僕はメモ用紙とペンを手元に引きよせた。(つづく)



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