GO! SHIT! GO! 六句目

42日ぶりのごぶさたとなったGO! SHIT! GO!、この42日間でありがたいことに当ブログのお客様も増えたため、ニューカマーの多い句会となりました(っていうかeg70658さんも初だったんだ。ちと意外)。
で、常連さんはよりハイレヴェルになり、ニューカマーの方は一石を投じる句を今回、投句してくれました。1ヶ月半寝かせておいたことで、このGO! SHIT! GO! もまだ新しい展開を見せる可能性の萌芽を見たということですね。考え込んでしまいました、いい意味で。
さて、ちょいと長くなりますが、GO! SHIT! GO! についておさらいしておきましょう。改めて説明をしなかったのでニューカマーの方にはイマイチ理解されがたかったようですが、「季語の変わりに、芸能人・有名人の名前を一つ以上入れて、テキトーな事物をテキトーに並べてテキトーに五・七・五にしてしまう」のが一応の定義です。参照→http://d.hatena.ne.jp/Chatterton/20050202
で、結果としてニューカマーの方の句にはこの規程から外れたものが見受けられるものとなってしまいました。しかし、だからこそ一石を投じるものとなりました。詳しくは後の講評で述べますが、「芸能人の名前そのものではないが、芸能人を連想・意味する別のフレーズ」を織り込んだ句、というものがここで生まれました。アリかナシかでいえば「ナシ」なのですが、面白いか面白くないかでいえば前者です。定義にとらわれていては新しいものは生まれない、ということを改めて教えられました。
更に、このGO! SHIT! GO! では基本、「シュール」を旨としています。ランダムサンプリングで芸能人の名前とフレーズを五・七・五に並べた結果、生じる落差(to northさんの句風が典型)、あるいはデペイズマン的な、「なんでこの人がこのシチュエーションに?」というおかしさ(abarehaccyakuさんが秀逸)を楽しむのが本道です。しかし、G7+1さんは、本当に「普通の句」を詠んでしまいました。批評を込めた「芸能人川柳」とでも呼べる、つまりシュールでもなんでもない、「意味」を持ったおかしさの句を追求しました。また、「本歌取り」も多用しています。これはちょっと「革命」でしょうか。正岡子規でしょうか。よくわかりませんが。まぁ、革命のベクトルが普通とは逆なんですけど(シュール→ノーマル)。
能書きが長くなりました。講評です。GO! SHIT! GO! では、毎回MVPは決めず、優れた三句を天・地・人で選んでいますので今回もその形式でいきますよ。
天:スケベ椅子 ためしてガッテン 谷隼人
もうダメです(笑)。スケベ椅子というアイテム、「ためしてガッテン」というフレーズ、そして谷隼人の絶妙さ。全てがムダにならず、口に出して詠んだあと、えもいえぬ余韻と奥行きが漂います。試した相手が松岡きっこでないことだけは確かでしょう。お見事。
地:でんでんと DonDokoDonと 段田男
実に素晴らしいレベルの高さです。この三者のスリーショットはまずあり得ないうえに、リズムが抜群。「声に出して詠みたいバカ句」です。個人的に「赤門」ならぬ「バカ門」という俳号を差し上げたい。
人:白ばんば 北面の武士 傳田真央   15歳 鷲のマークの 中尾ミエ
異例ですが、二句を人に推します。この二句はスゴい。本当に何の意味もないですから。「北面の武士」てw。「鷲のマークの」てw。ニューカマーの方は、天か人がここでの主流の作風であると考えておけばよろしいかと思います。地の句は技巧的でとても上手いのでご参考までに。
>abarehaccyaku
特筆すべきは「谷隼人押し」です。やっぱ一番付き合いが長いからなのか、私が「あ、ここで谷隼人押しはありだな」と思ったら、第二段ではきっちり押してくれました。数多の雑誌やラジオの投稿コーナーで、自然発生的にネタにされ倒す芸能人がいたわけですが、どうやらここではこれから「谷隼人」ブームが来そうな気がします。「由比ガ浜」「江戸幕府」「甘太郎」もうまい。
>eg70658
あえて、しなくていい「離婚芸能人」縛りに果敢に挑戦してくれましたw。初参加なのにナイスな句がありましたね。「披露宴」「マスターズ」がよかった。「花吹雪」の寂しさはどうでしょう。やっぱ大宴会じゃなくて小宴会なんですね、彼は。
>G7+1
問題作ばかりです。「シュール」が主流だったGO! SHIT! GO! に、いわば「『笑点』の好楽的クリティック」を持ち込んだ功績は見逃せません。「里谷多英」が笑った。「モーグル(潜る)よ」てw。「あべなつみ」も面白いです。「シャネルズの」の古さ、「小泉さん」のトホホさも好きですね。第二段の本歌取りシリーズもうまい句ばかりで唸らされましたが、妙に植草教授ネタが多いのは気のせいでしょうか。
>amuhima
今回ではまだGO! SHIT! GO! をつかみきれなかったようですね。他の人を参考にして次回も頑張ってください。字余りはよっぽど破壊力のあるネタでないと、この場合はキツいでしょう。なお、ここで日々ネタを書いている人間は平均年齢ほぼ30で、あなたより確実にムダに齢を食っていますし、ムダなことに時間を費やしてきました。その分、「笑えるチャンネル」が他人より多いのです。「笑えるチャンネル」ってのはムダ知恵の集積といっても過言ではありません。「芸能人の名前を使ったバカ俳句ごっこ」という遊びでは、若い人と年寄りではいかんともしがたく抽斗の数が違います。あなたも今のうちにバカなことを全力でやってムダなことをたくさん吸収すれば、10年後には我々みたいになっているかもしれません。そうなったら負けですが。
>hamcap
「はね駒」「三井ゆり」はいいですね、脚韻を踏んでて。こういう、全くもってする必要のない技巧をこらせるというのがオシャレです。「更年期」は笑った。投げやりで。平たく言ったって「賈秀全」になんかならないってのw。趣旨違いではあるものの「天国で」はしみじみいい句ですね。我々ドリフ世代としては。
>to north
いつもいつも、「ノイローゼ感」すら漂うデタラメっぷりが先鋭的でいいですねw。「涙箸」「石油メジャー」「和田弘」の訳わかんなさが味です。「牢名主」とか「首実検」というシブい言葉をさりげなく配せるのも特徴。「綾戸智恵」は個人的に好きだなぁ。
>スケキヨ
amuhimaさんの「んなこたーない」もそうですが、 スケキヨさんの「ミニにタコ」も、芸能人の名前ではなく「芸能人を象徴するフレーズ」を織り込んだ句です。これを認めてしまうと収集がつかなくなるので今後も織り込むのは芸能人の名前のみとしますが、新しい可能性という意味で大いに注目しました。あ、そもそも「根多場」初参戦ですね。ありがとうございます。今後も気が向いたらで結構なのでぜひ。で、さりげに加賀千代女の本歌取りなんですが、ここでも植草教授大人気w。「もらい水」のパロディがうまいですね。手鏡のあの人に対して、ビデオカメラのあの人がもらい泣き、と。ええいああ。
>(・o・)
「たらちねの」、やはり「たらちねの」といえば「母」、ということで「丹古母」。上手いです。初鰹もきっと捌かないで頭から齧りますね、「悪魔の館」さながらに。「あびる優」ですが、本来あまりにも「祭り」対象の人は、詠んでもハードルが高い分面白くないのですが、ここでは「かげおくり」が効いていますね。しかも「親族一同」。ギリギリのところをうまく詠んだという感じです。
>OshareDorobou
今回は間違いなくabarehaccyakuさんに次ぐレベルでした。「谷隼人」(まただw)は、「突撃!」がミソですね。ってまた「たけし城」かよ、と思えば「城みちる」も来ました。何なんだ、この「たけし城」率の高さ。丹古母といい。やっぱ年食ってる連中ですからね。「狂牛病」もうまいなぁ。めきめきレベルが上がってます。上げなくていいレベルが。
>KingTower
みかじめ料」も、to northさん並みにシブい言葉ですね。それとポールを結びつけた日にゃ藤田朋子も号泣しますて。「浅草寺」、あの浅草のスラム街みたいな街でジャン・レノ祭りw。アサヒビールのウンコビルをバックにw。「モスバーガー」は岸朝子が告発をしたのかされたのかが気になります。「尻相撲」。なめ子とならしてみたい。朝青龍とはしたくない。
>ヌー
ビル・ゲイツ」は何を片手落ちしてしまったのでしょうか。燃料の給油を忘れたんでしょうね、きっと(←実は『バンゲリングベイ』持ってた。超クソゲーだったけど)。「メンソーレ」は好きです。蝶よ花よと、というのがいいですね。明るくて。とても、北海道の寺の息子で一度自殺未遂した人を詠んだ句とは思えません。
>noda-shu
「地下二階」、何だよ「松尾伴内フロア」ってw。「あて先は」。応募したら何が貰えるんでしょうか。高くて重くて家では使えないフライパンとかですかね。インチキ商法ですね。「週末の」、火元にあの茶色い縁の眼鏡が…。「ありがとう」は、普通のストラップなのか「デューク更家ストラップ」なのかによってお礼のテンションも違ってきます。「波田陽区」は『エンタの神様』の五味さんが詠んだ句ですね。
>Hantuchova
「俺は見た」、いつも見てる側が見られてる、という倒立性がスリリングです。「超難問」、そりゃブラジルの日系3世(だっけ?)には江戸幕府は超難問でしょう。ちなみに私の中学の時の数学の先生は、「オメガトライブのギターの兄」という微妙な人でした。自慢しようと15年間あっためてましたが、自慢する機会がありません。「矢口真里」はそんなに働かされてたんだw。
というわけで今回のGO! SHIT! GO! はこれにて。ニューカマーの皆さんにおかれましては、私の方で大した説明もせずに募ってしまったばっかりに、いくつかムダ弾を撃たせてしまいすいません。とはいえ、こちらの規定に合わなかっただけで、面白さは変わりはありませんでしたが。果敢に投稿してくださるその姿勢、とてもありがたいです。これに懲りずに今後もぜひ。
ではまた。次回は5月初旬くらいに。それまでいい句を考えといてくださいね。チャオ☆