Book Baton

先日、Musical Batonに回答したところですが、本当にこの手の「質問系チェーンメール」っていろいろなのが各種出回ってるみたいで、今度はBook Batonなるものがweiraiさんから回ってきましたよ(ご指名、ありがとうございます)。http://d.hatena.ne.jp/weirai/20050706
というわけでどちらかというと本好き(と言えるほど最近はあまり読んでいないけど)で、かつ毎日更新で日々ネタに汲々としている者としては、ホイホイと飛びつくことにします。

・持っている本の冊数
数えたことないけど、物置にある分も含めれば500冊は下らなくて、800冊くらいあるかなぁ、1,000冊はないと思うけどわかんないなぁ、という感じ。基本的に本って売ったり捨てたり出来ないので、私は。
漫画はあまり多くなく、文庫本や雑誌が結構多いが、初期の『GON!』(今みたいにエロ本に堕してしまう前のやつね)のバックナンバーは、一度実家を出たときに泣く泣く捨てた。蔵書の整理は多分もう、結婚とか災害とかでほぼ全処分せざるを得ないような状況にでもならなきゃできっこない。

・今読みかけの本 or 読もうと思っている本
『ロジャーズ クライエント中心療法』(佐治守夫・飯長喜一郎編。有斐閣新書)
ロジャーズ クライエント中心療法 (有斐閣新書―古典入門)
『無気力の心理学 やりがいの条件』(波多野誼余夫・稲垣佳世子著。中公新書
無気力の心理学―やりがいの条件 (中公新書 (599))
ちょっと必要に迫られて、お勉強お勉強。でも読めていない。特に前者は開いてもいない(涙)。
『東京・鎌倉 有名人お墓お散歩ブック 誰もが知っている104人の墓碑完全ガイド』カジポン・マルコ・残月編著。大和書房)
東京・鎌倉 有名人お墓お散歩ブック―誰もが知っている104人の墓碑完全ガイド
私の隠れた趣味が「有名人の墓参り」*1であることはミクシィでは明らかにしているのだが、3年前に多磨霊園に行って以来とんとご無沙汰なので買ってみた。まだ全部読んでないけど、お墓の周辺ガイドやモデル徒歩コースなども載ってて面白い。

・最後に買った本(既読、未読問わず)
はるか17』7巻山崎さやか講談社
はるか17(7) (モーニング KC)
先週買った。最新刊。ドラマも始まったしね。はるかと、人気男性アイドルユニット「スマッキーJr」の赤城翼との恋の行方から目が離せないぜ! ところでなんとなく、漫画の方のはるかのキャラクターって、『なぎさMe公認』のなぎさに似ている気がする。天然っぷりが。
漫画以外なら、やはり先週に某番組のネタ出し資料で買った「県民性」関係の雑学本が9冊ばかり。

・特別な思い入れのある本、心に残っている本5冊(まで)
また難しい質問だな。単に読んで面白かった、というのではキリがないので、なるべく私の人生(というと大げさだけど)などに何らかの影響を与えたりしたものを中心に挙げてみます。
①『むさしキャンパス記』かんべむさし。徳間文庫)
上ヶ原 爆笑大学―新版むさしキャンパス記
現在は『上ヶ原 爆笑大学 −新版むさしキャンパス記−』としてヒューマガジンから出ている。中学生の時に読んだ。SF作家かんべむさしの、関西学院大学時代を綴ったエッセイ*2
コピーライターを夢見て広告研究会の活動とアルバイトに明け暮れた著者の青春が描かれている。学校の授業よりも遥かに刺激的な、個性と才能豊かなサークルの仲間達との交流や体験、バカ話などが鮮やかである。当時の自分も漠然と「こんなに面白そうなら、大学に行ってサークルに入りたいな」と思ったが、そのときの希望はお釣りが来るくらい叶ってしまった。個性と才能(主としてバカ方面の)豊かな仲間達と過ごした4年間は間違いなく、現在の自分を形作っている重要な要素である。

②『蛍川』宮本輝。角川文庫)
螢川 (角川文庫)
以前も少し触れたが、高2のとき現代文の授業で読んだ。芥川賞受賞作。太宰治賞受賞作である『泥の川』も収録*3。私の高校では現代文のテキストとして、教科書とは別に文庫本が丸々1冊指定されることがあったのだが、これもその1つだった。授業中の小レポート課題で「なぜ著者はこの作品に『泥の川』という題名をつけたと思うか、考えて述べよ」というものがあり、それが面白かったこと、そしてその課題にだいぶよい点がつけられていたことが、私が国文学科に行こうと思ったきっかけだった。もしこれを読んでいなければ、史学科か哲学科に行っていたと思う。

③『風の歌を聴け村上春樹講談社文庫)
風の歌を聴け (講談社文庫)
村上春樹から一つ。村上作品のベスト、というとファンの間ではそれこそ十人十色で議論百出すると思うが*4、私はこれを挙げたい。
ちゃんと読んだのは大学4年の夏休みだった。作品の中の「僕」も同じ時間の中にいた。間違いなくその年の夏は、私にとってある種の「最後の夏」だった。就職が決まり、サークルの合宿も終え、あとは卒論を書いてしまうばかり、という奇妙な虚無感と寂寥感が私を包んでいた。それと同じではないけれど、似通っていたかもしれないものを、「僕」も抱えていた。私は学生として最後の参加となるサークル合宿の最終日の夕方に、伊東の海岸を一人で歩いた。強く眩しい西日が照らして、猛暑と蝉の鳴き声が私を包んでいた。
夏の香りを感じたのは久し振りだった。潮の香り、遠い汽笛、女の子の肌の手ざわり、ヘヤー・リンスのレモンの匂い、夕暮れの風、淡い希望、そして夏の夢……。
しかしそれはまるでずれてしまったトレーシング・ペーパーのように、何もかもが少しずつ、しかしとり返しのつかぬくらいに昔とは違っていた。
何でもいいから文章を書いていきたい、そしてそれを人に読んでもらいたい、という漠然とした思いを、これを読んで抱いた。そんなわけで今、こうして毎日ブログを更新している。

④『トンデモ一行知識の世界』唐沢俊一。大和書房)
トンデモ一行知識の世界
今から3年ほど前に突如して沸き起こった、『トリビアの泉』や『虎の門 薀蓄王決定戦』などに代表される一連の雑学ブームの嚆矢はこの本である*5。『トリビアの泉』という企画自体がこの本から生まれたのは有名だろう。
私も、子供の頃から「外遊び・スポーツ大嫌い、文化系・読書大好き少年」の嗜みとして一行知識を割合に溜め込んではいたが、それに何らかの「価値」が与えられるとは夢にも思っていなかった。だから、この本の「まえがき」(全文引用したいくらいだができない。必読のこと)に書かれた、いわば「一行知識マニフェスト」とでもいうべき文章には本当に目からウロコが落ちる思いだった。そして、幼少の頃の唐沢さんの体験(読書好き、それを友達の前で面白おかしく話してウケる、学校の行事でそれを求められて披露する、など)を読んで「あ、私も全く同じようなことしてた」(←格が違いすぎ)と驚いたものだった。
結局、この本から始まった雑学ブームの中で、何度か「薀蓄王」としてTV番組に出たりしているうちに、唐沢さんとのトークライブでの共演が実現してしまう。そのときの私の感激は想像してもらえるだろうか。
当日、楽屋にこの本を持参し、サインをねだった。「人生、一行知識と書かれたそれは宝物である。

中島らもの著作
絶対に外すわけにはいかないし、またどれか一つを、とも挙げられない。
10代の頃、恋愛の至高性、天上性を教わった。アルコールとドラッグの沼から私を呼び、その魔力と魅力を覗かせてくれた。B級好きで天邪鬼な性向を、拭いがたくうつされてしまった。「笑い」とは何かについての哲学と、デペイズマンを学んだ。学生時代に勉強もせずがむしゃらに打ち込んたことは必ず、あとに活きてくることを「灘校の劣等生」は体現してくれた。「博覧強記のおっちゃん」から、雑駁でたくさんの雑学を憶えた。そして昨年の夏に彼は酔って階段から転げ落ち、あっけなく逝ってしまった。
もうすぐ、一周忌がくる。abarehaccyakuさんと献杯でもしたいものだ。

次にまわす人(5人まで)
回しません。もうMusical Batonを回してしまいましたし、私が知己を得ている、回せるような人はお忙しいので。この手のチェーン系では面識のない著名人に渡す人もいるようですが*6、私がいちばん回したい人はきっと今ごろ天国でフォアローゼスでも飲んでいるでしょう。
ただ、クイズ関係者に回すんだったらMusical Batonよりこっちの方が絶対面白かっただろうな。というわけで、どちら様でもいいので「渡してほしい」というお申し出がありましたらすぐお渡ししますのでよろしく。

ふぅ、疲れた。でも楽しかった。weiraiさん、こんなもんでよろしかったでしょうか?


最近は「積ん読」が多いな。反省。人気blogランキング

*1:もし、それでオフやるっていったら誰か来るかな? 雑司ヶ谷青山霊園あたり行きたいんだけど。

*2:KingTowerさんだけに向けて書くけど、私がよく口にする「ダスメッチェン、フートンシーテン…」というインチキドイツ語詩はこの本で知った。

*3:そういえば、川三部作の残り一つ『道頓堀川』をずいぶん前に買ったけどまだ読んでないや。

*4:しかし見聞きする限りでは『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を挙げる人が多い。

*5:この本に便乗して、当時某同人誌の頁の柱に「一行知識」を依頼されて書いたものだ。

*6:食べ物に関する質問系バトンを椎名誠東海林さだおに回している人を見たことがある。答えが来たらそりゃ嬉しいだろうけども。