映画『サヨナラCOLOR』鑑賞

http://www.zaziefilms.com/sayonara-color/index.html
渋谷ユーロスペースにて。13時45分からの回でしたが、かなりな人気で立ち見も多数出てギッシリでした。なんでも先週土曜の公開から、連日全回立ち見が出る盛況なんだとか。竹中直人の監督第5作。

海を臨む病院に勤める医師・正平(竹中直人)の元に、子宮がんを患った未知子(原田知世)が入院してきた。偶然にも未知子は、正平が高校時代思い焦がれた初恋の人、その当人であった。
気軽に独り身を謳歌しているかに見える正平には、長年付き合っている居酒屋の女将・聖子(中島唱子)や、最近知り合い、いきなり援交を申し込んできた女子高生・まなみ(水田芙美子)がいるが、心の中は二十数年もの間一途に思い続けてきた未知子でいっぱいだ。
「思い出してくれましたか ? 僕のこと」
そう問いかける正平だが、肝心の未知子はすっかり正平を忘れている様子。 一方の未知子にも長年の恋人・雅夫(段田安則)がいた。雅夫は今をときめく 売れっ子スタイリストだ。しかし浮気性の雅夫には、未知子の友人で、彼女が作るガラス細工のランプを売るアンティーク・ショップの経営者・あき子(雅子)という愛人がいた。
献身的に治療を施しながら、なにかと自分を思い出してもらおうと試みる正平。始めのうちはしつこくされて迷惑気味の未知子だったが、いつしかそんな彼に心を開いていく。
化学療法が効き未知子は手術できる状態にまで回復した。自分で執刀したいと願う正平だったが、正平自身の体調を心配する後輩の医師・前田(内村光良)の薦めで、担当は子宮がんの権威・巌岳先生(中島みゆき)に決まった。
そして、いよいよ手術の日がやってきた…。   (公式HPより)

高校時代の正平や未知子の回想をはさみながら、ストーリーは展開していく。高校時代の正平のストーカーまがい(というかそのもの)の一途さとそれで巻き起こった珍エピソード(しかし、ラストへの伏線がある)や、内村光良演じる同僚の医師・前田とのやり取りに笑わされつつも、自分も省みず懸命な治療を試みる正平と、それに少しずつ魅かれてゆく未知子の気持ちがラストに向かって収束されていくのに引き込まれてしまう。★★★★☆。ネタバレを避けるために詳しくは書かないが、浜辺で正平と未知子が連れション(!)するシーンと、ラストで前田が未知子に言葉を伝えるシーンが印象深い。後者で私は不覚にも泣き、場内からもすすり泣きが漏れた。
以下雑感。
竹中直人は、いつ、どの映画にどんな役で出ても「竹中直人」だなぁ、と思わされる。よくも悪くも。
・某新聞の映画評に「最後まで竹中直人原田知世が『同級生』だということへの違和感が拭いがたい」とあった。竹中直人は1956年、原田知世は1967年生まれだからほぼひと回り違う。そして劇中で彼らが演じた年齢は45歳。まぁ、私はそれほど違和感を感じなかったが、世の中の45歳がみんな原田知世みたいだったとしたら、きっと素敵であろうに。
・映画『スウィングガールズ』の撮影中、竹中直人が惚れ込み直々に出演オファーを出した水田芙美子

『スウィング…』では不良っぽいベーシストを演じたが、今回は正平に援助交際を持ちかける女子高生を演じた。いい目をしている女優さんですね。いまは映画と音楽が中心の活動ですが、そのうちドラマでも見られそうな気がする。頑張ってほしい。
・初監督作品『ピーナッツ』の公開も控えているウッチャンこと内村光良。場面は少ないながら、正平の後輩医師・前田を好演。竹中直人との2人でのカラミは、そのシーンだけ「コント」。しきりに笑いが巻き起こっていた。一・九分けに眼鏡で、ぱっと見には彼とわからないほどの役作りなので注目。上だけ黒いフレームのはまっている眼鏡のウッチャンを見たのは、『夢で逢えたら』の村三吉以来かも。うわ、懐かしい。
・とにかく出演者が豪華。特にミュージシャン勢。忌野清志郎中島みゆき北川悠仁斉藤和義、浜崎貴志、田島貴男高野寛ケラリーノ・サンドロヴィッチ……。エンドロール見てて「あれ、この人出てたっけ?」と思った人が何人も出てる。これはちょっとスゴいので、音楽ファンは必見。安斎肇もカフェの店長役でワンカットだけ登場するので、空耳ファンも必見。
・舞台が鎌倉の稲村ヶ崎極楽寺界隈を中心とする江ノ電沿線で、私には馴染み深かった。竹中直人は横浜出身で、ロケに使われたのも関東学院六浦中学・高校(横浜市金沢区*1だからか、正平と未知子の母校も「横浜六浦高校」という設定になっている。横浜市内をビタ一文走っていないのに江ノ電が舞台?

そんなわけで、今年に入って観た映画が5本。10代の10年間で観た映画の本数を抜いてしまいました。全然映画観ない人だったのに。しかし今後も『サマータイムマシーンブルース』『空中庭園』『まいっちんぐマチコ!ビギンズ』*2『ピーナッツ』など、観たい映画が目白押しです。
先日の「十題話」で疲れて懲りましたが、こういう映画を観るとまた何かお話を書いてみたいなぁ、という気になりますね。書いてみたいテーマはまだあるし。



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*1:実は一時期受験を検討したことがある。結果的に行かなくてよかったけど。

*2:当ブログからアンテナを張らせていただいている、「タレント一年生」の鈴木弥生さん出演作品。