ヒレニズム文化

以前も少し書いたかもしれないが、私の母親はかなり食べ物の好き嫌いが多い人である。枚挙するのも面倒なのであまり詳しく語らないが、特徴的なものに「脂・脂身」嫌いがある。まぁ肉の脂身なら嫌いな人も多いかもしれないが、母親の場合は魚についても好まない。何しろ一年中毎日食べたって飽きないと豪語するほど寿司が好きで、とりわけ鮪の赤身に目がないのだが、トロは決して口にしないのだから徹底している。
そんなわけで察しはつくだろうが、とんかつも彼女はロースカツは好まず、基本的にヒレカツのみを食べる。さて、ここでギモンなのだけれど、ヒレカツの存在意義って何なのだろう? 
たいていのとんかつ屋では、ロースとヒレがある。そしてたいていの場合、ヒレのほうがロースより高い。しかし、高いからといって必ずしも旨いってものでもないということは言うまでもない。篠田一士*1は「豚肉のうまさを味わいたければ、脂身が多少ついているロースにかぎるというのが常識になっている」と書いたけれど、そのとおりだと思う。それが証拠に、TVのグルメ番組などでとんかつが取り上げられるとき、それは大体の場合ロースカツではないか(最近はニューカマーの「キムカツ」が取り上げられることも多いが、これだって「旨いのは脂」という原則が前提にはある)。多分『新どっちの料理ショー』で「ロースカツ対ヒレカツ」をやったとしたら、まともにいけば勝つのはロースだろう(そんなピンポイントな対決なんてやらないだろうけど)。
そんなわけで私は子供の頃、「ヒレカツ=高い上に脂身が少ない=脂はちょっとヘビーだと感じる、小金持ち御用達=年寄りの食い物」という、けっこう乱暴な判定をしていた。しかし、脂身がヘビーだと思うような人はそもそもとんかつなんて食べないではないか。うーむ、いよいよわからない。ヒレカツの存在意義って何なのだろう。なんかさっきから東海林さだおみたいなこと書いてるな。おかげで腹減ってきた。
皆さんはロースカツとヒレカツ、どっちが好きですか? ロースカツへの援護射撃、ヒレカツへの擁護・弁護などございましたら書いてみてください。ちなみに私はビフカツが好きです。って今まで書いてたのは何だったんだ。
ところでヒレと聞くと、アントニオ猪木がインタビューで「猪木さんも、若い頃はたくさん召し上がったでしょう」と聞かれ「そうねぇ、ヒレならまぁ、一本」と答えたというエピソードをいつも思い出します。明らかにおかしいだろ、「単位」がよ。
  


別に、ヒレカツが嫌いというわけじゃないんですよ。人気blogランキング

*1:東京都立大学の教授時代、彼は授業と授業の合間に「お茶代わりに」ラーメンを一杯ずつ啜り、それとは別に昼食も取ったという。ラグビー部の高校生か。