Passive Valentine Day
先日、講演をするのしないのというお話を書いたが、当初予定されていた日程を変更してもらえないかという旨のメールが今日、先方からあった。予定されていた日から一日遅らせて、２月14日にしてほしい、とのこと。先方の都合による急な変更依頼なので向こうも恐縮されていたようだったが、別に14日でもその時間帯なら空いているので快諾することにした。しかし、変更を依頼する恩師からのメールには「バレンタインでしょうし、無理ですかねぇ」と書かれていた。うわ、何このベタな昼ドラでモテないOLに上司が言いそうな皮肉。
というわけで来週はバレンタインであるようだが、幸か不幸か、私には２月14日を一緒に過ごす予定の女性はいない。ああ、いないとも。だからまぁ、その日は一人で朝から酒だって飲めるし、マンガ喫茶で『ガラスの仮面』を読み倒す事だってできるし、自宅で豆乳から豆腐を作ってもいいし、無闇にカタツムリを捕りに行ったってかまわない（←って講演行くんじゃないの？）。ヒャッホーゥ！ 自由だ、俺、自由だ！ 結婚してからこっちの山口もえの各種番組における立ち位置の次ぐらいに自由だ！ まぁそれはともかく、その日にチョコレート的なものをもらう予定はないし、私にチョコレートをくれるなんて酔狂な真似をする女性がいるとも思えない。もっともいい年してバレンタインで必要以上に浮かれてみたり、コクるだのコクられるだのと騒いでいる場合でもないのであるが。
どちらにせよ２月14日ってなぁ男子諸君にしてみれば、割合明暗クッキリ分かれる日であったりするわけである。これはなぜか？ 世の中にモテる者とモテざる者がいるからか？ 否。渡すものがチョコレートという、なんか「あっま〜い」感じのものだからか？ 否。なぜ明暗が分かれるか。それはっ！ バレンタインがっ！ 女子から男子へチョコレートをあげるという制度上の問題で、「男子がどこまでも受動的にならざるを得ないから」であるッ！ はいキタコレ！ 私突いちゃった？ 核心突いちゃった？ そうなのである。男はひたすら、その日に女子がチョコをくれるのかくれないのかを受身で期待していることしかできないのだ。挙動不審Maxで昇降口とか廊下とか自転車置き場を用もないのにうろついたりするのだ。♪女はいつも〜待たせる〜だけで〜 男はいつも〜待ちくた〜びれて〜 なのだ。
これではいけない。いつまでも男は待ち続けるだけの状態から脱さなければならない。チョコのくびきから自らを解き放たなければならない。だとしたら、Too shy shy boyにも年に一度の告白のチャンスを与えるべきではないのか？ 「か、カン違いすんなよ。義理だかんな」と無骨な番長チックに照れ隠しで渡すもよし、「いつも、お世話になってるから。ありがとう」とジェントルに渡すもよし、だ。確かにかつてのバレンタインは、奥床しき大和撫子がチョコに仮託して年に一度、殿方に愛を告白できるチャンスだったかもしれない。しかし、時代はくだって現在、『電車男』ではないが圧倒的に男子の方がそこらへんはヘタレである。だとしたら、それこそ年に一度、バレンタインにかこつけてモテない男子が女子に想いを伝える日があったっていいはずだ。世の男子が全てモテモテイケメンやりちん軍団ばかりというわけではない。女子にさらりとスマートにプレゼントの一つや百もできるような奴ばかりではないのだ。そんな「不器用ですから」なモテない男にも、人並みに、意中の女子に想いを伝える手段と機会を！ これは大事なテーマである。それこそ今国会で政治日程にのぼらせても遅くはないくらいの喫緊の課題である。私は冗談で言っているのではない（いや、半ば以上冗談だが）。非モテだのアキバ系だの萌えだのと言っているが、そんなんではますます世の男性が現実の恋愛に臆病になったりするばかりではないか。出生率は下がる一方である。もうこの少子高齢化に歯止めをかけるには、「一億総思春期」政策しかない。「夜警国家」ならぬ「ねるとん国家」だ。なんなら政府が積極的に出会い系サイトを運営してもいいくらいだ。公営なら、いかがわしい利用者も減り、従来の健全な目的である「出会い」を達成できるだろう。地球は僕らのラブワゴン、国歌は『君が代』から『未来の地図』へ！（いま違うんだっけ？ ゆずだっけ？ あの番組キライだから観てないもんでよくわかんない） 性癖なき構造改革を！ 感動した！
ところでバレンタインにやり取りするものが美味しくて甘いチョコだから、あの妙なドキドキとか、もらえた場合の嬉しい感、もらえなかった場合の疎外感とかがあるんじゃないの？ だったらチョコの代わりに画鋲とかチリレンゲとかの、もらってもあんまり嬉しくないものをやり取りするようにしたら、もらえなかった人もあんまりショックじゃないと思うよ。とっぴんぱらりのぷぅ。
