串かつムシャ武者修行・前編

「QBC2参加」「モンキーズ例会参加」と並んで今回の大阪訪問の私の大きなテーマであった、「新世界串かつムシャ武者修行」を月曜日に観光してきたのであった。違った。敢行してきたのであった。いや、違ってないだろ。
そんなわけで10時にホテルをチェックアウト。少し風は冷たいが昨日とは打って変わってよく晴れ、修行日和である。食っちゃうぜ飲んじゃうぜコンチクショー。今回の目的は「ひたすらはしご」である。決まった同じ店にだけ行きセメントで飲み食いするいつものパターンを変え、当たるを幸い片っ端からいろいろな店に飛び込みやっつけてやろうというハラなのである。起き抜けの私のハラも、ビールと串かつを欲しているのである。世間の皆様が真面目に働いている月曜の午前中だというのにである。ああ、生まれてすみません。生きよ堕ちよ。
御堂筋線を動物園前で下車。久しぶりの新世界だ。前回来たのはいつだったろう。マギーオープンの翌日だったかもしれない。約3年ぶりの「串かつの聖地」だ。街全体から滲み出まくる、B級のオーラが私を魅了してやまないよ。というわけでまずは一軒目。
①やまと屋
Q.中島らも小堀純の共著『せんべろ探偵が行く』の中では、「大阪で一番安い店」として第一章の最初に紹介されている/
ここが今回最初のお店。らも信者としては当然のチョイスである。といっても新世界内に「やまと屋」は8号店(!)まであり、『せんべろ探偵』の中で紹介されていたのは1号店なのだが私は5号店へ。ムシャ武者修行のスタートだ。
ここがなぜ「大阪で一番安い店」なのか。それは「一人で酒を2合飲むと1合サービス、および一人で中ジョッキ2杯飲むと1杯サービス」というシステムがあるからである。「千円でべろべろに酔っ払える」店、即ち「せんべろ」なのだ。オール立ち飲み式のため*1カウンターに仁王立ち。まずは生を頼む。グビグビグビグビ〜。美味い。昨日、モンキーズ例会終わりでしこたま飲んだはずなのにビールが美味い。時計を見れば11時5分前である。ひとまず適当に牛、豚、ソーセージを頼み、揚がるのを待つ。一律1本100円の明朗会計だ。ほどなくして揚げ立てのそれが私の目の前に。いただきまーす。うむ、旨い。新世界に来たなぁという感慨に満たされる。微妙な味わいがどうこうというものではない。とにかくテキトーにタネに衣つけて油にぶち込んで揚げりゃいいんだろ的なものなのだが、それが旨い。アツアツのに齧りついて冷たいビールを流し込むのだよ。幸せなのだよ。
しばらくすると、TVの取材クルーのような人たちがやってきて、大将にいろいろ話を訊いている。今すぐこれから撮影というわけではなく、下調べのようだ。「新世界界隈の牛かつは国産牛らしいですけど、昔からなんですか?」と質問している。「ああ、まぁねぇ。昔は『犬の肉』とか言われとったけどな」と答える大将。えー、国産牛なん? 相手に乗っかって大将、「まぁねぇ」とか言ってごまかしてない? まぁいいんだけど。1杯目が空いたのでもう1杯。あてに砂ずり炒めを頼むがちょっとハズレだったので追加でゲソとたことキスと卵を頼む。串かつ来る。齧る。飲む。齧る。飲む。たこ旨い。ゲソも旨い。2杯目も空いた。「おばちゃーん、2杯飲んだよー」と言うと「『おまけ』いっちょー」の声とともにひと回り小さいグラスがやって来た。得した気分である。それをゴキュゴキュっと飲み干して1軒目制覇。1,600円也。押忍!
②大西屋
お次は「やまと屋」の隣にある「大西屋」。ガラス戸にも店内にも訪れた芸能人のサインがペタペタと貼られている。まぁ新世界の串かつ屋だったら大概、どこでも一度ぐらいは何らかの取材を受けているものだ。どっかと腰を下ろして生を頼む。そして、「やまと屋」にはなかったが大阪に来たらやはりぜひ食べておきたい「どて焼き」をオーダー。するとやる気なさげな若いおねえちゃんが「すいません、仕込み中です」と却下。残念。仕方ないので串かつ、牛ひれ、豚バラ、砂ずり、うなぎを頼む。ちびちびビールを飲んでいると店外から店長と思しきあんちゃんがやってきて、「お待たせしてごめんなさいね、すぐ揚げますから」と愛想のよい早口で私に言った。なんだ、揚げる人がいなかったのか。しかし仕事は早いよこのあんちゃん、「オ待タセシマシター!」と軽い片言の日本語で串を出してくれる。えっ、日本人じゃなかったの? 気づかなかったよ。ちょうどこの人の逆ですね。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060227-00000315-yom-soci
うーん、やはり美味しい。「『砂ずり』ハ、塩デモ美味シイデスカラー」とやはり愛想よくチャンさん(勝手に命名)が声をかけてくる。言いつけにしたがい塩をかけて齧る。そうそう、これだよ。砂ずりを食わなきゃ大阪で串かつ食ったことにならないもの。コリコリ感が素敵。そして特筆すべきは、うなぎがあり得ないくらい旨い。だってせいぜい200円の、しかも新世界の串かつのうなぎなんて普通旨いと思わないじゃん? 期待しないじゃん? ところがこの絶妙のふわふわ感はどうだ。奇跡的に美味。思わず「うめぇ」と呻いてしまう。ラジニさん(勝手に改名)に「美味しいね」と言うと、ウィラポンさん(勝手に再改名)は嬉しそうに笑ってくれた。これは一食の価値アリである。 
ビールが1杯空いたので、おかわりとともにホルモン、豚バラ大葉、牛タン、きすにたこ、そしてまた砂ずりを頼む。大丈夫か? まだ先は長いぞ。いや、修行に妥協は許されないのだ。ここは比較的メニューの種類が豊富なので、豚バラ大葉なんて若干手の混んだメニューも置いてあってよい。「やまと屋」はデートにはまず適さないと思うが、ここならギリでイケそう。ここに至って気づいたが、アウンサンさん(勝手に再々改名)の油の切り方がちょっとカッコいい。ラーメンの中村屋を髣髴とさせるものがある。ご覧になりたい方は新世界へGO! そんなわけで2軒目も制覇。2,185円也。押忍!



次回へ続いてしまうよ。人気blogランキング

*1:オール立ち飲みなのは確か5号店のみだったと思う。立ち飲みの分かどうか定かでないが、他の姉妹店より酒が安い。