♪い・い湯・だ・な

ここんとこ寒いです。先日は首都圏にも雪が降りました。
こんな寒い日は、温泉にでもつかってのんべんだらりんとするに限りますね。これ以上のんべんだらりんとする余地が私にあったとは自分でも驚きですが。
ま、温泉がムリでも、せめて大きな湯船にゆっくりとつかりたい、ということで銭湯なんていいですよね。私は普段、ほぼ99%シャワーを浴びるだけで済ませてしまいますし、自宅の風呂なんて図体のでかい私にはほとんど「座棺」なので、気兼ねなく手足を伸ばせる大きな湯船には憧れてしまいます。
会社員をしていた時分、2年半ほど港区の芝公園というところでひとり暮らしをしておりました。首都圏以外の方にもわかりやすく説明しますと「東京タワーまで徒歩15分」という感じのところです。言うなればド都心ですよ。そんなド都心の港区、聞くところによると東京23区の中で最も「公衆浴場の少ない区」なんだそうで。で、それじゃあいけねぇや、ってんで区がわざわざ作った「区立浴場」が、私の住んでいるところのすぐ近くにありました。
ワンルームマンションの窮屈なユニットバスに、少々うんざりしていた私は、その「ふれあいの湯」なる銭湯に行ってみたのです。私が住んでいた芝というのは、ド都心ではありながら昔ながらの商店街的な場所もちらほらあり、都会的というよりは、下町っぽい風情も僅かに残る、そんな街でございました。だからたとえ、23区の中でいちばん銭湯が少ないとはいえ、「ふれあいの湯」では文字通り地元の人々とのふれあいがあるんだろうと思っておったわけですよ。風呂を埋める埋めないでケンカになりそうなおっちゃん同士を近所のご隠居が「まぁまぁ、若ぇの」とか取りなす光景とか、洟垂れ小僧がはしゃいで走り回ってるのを「オイこら坊主、走ると転んじまうぞ」と米屋の大将が注意する光景とか、そういったもんがあるんだろう、と勝手なうえにベタな想像をしておったわけですよ。
私は港区をなめてました。「区営」をなめてました。
首都高の真下に寄りかかるようにして建っているその「ふれあいの湯」。のれんをくぐると、すぐに番台(というかフロント)がありまして。
それからエレベータを利用して2階が女湯、3階が男湯ときたもんですよお父さん。湯上りコーヒー牛乳を楽しみたい向きは、4階の休憩室に行けば自販機もあるでよ。
えええぇぇぇ? いうても銭湯だよ? 「ふれあいの湯」だよ? エレベータ? こんな「貧相な老人ホーム」みたいなの、なんか違くない? しかしお金も払っておいて今さら帰るわけにもいかない。「銭湯でエレベータに乗る」という、けっこうな違和感を覚える行為を経て、男湯に行ってみると、人のいないがら〜んとした洗い場の奥には大きな湯船があり。そこにじいさんが二人ほど、つまんなそうな顔で黙って湯につかっておりました。ケンカするおっちゃんもご隠居も洟垂れ小僧も米屋の大将も乗客の日本人もいませんでした、いませんでした、いませんでした……。
てなわけで入浴料・430円(サウナなどの設備はなし)、自販機のコーヒー牛乳・110円、地元の人とのふれあい・プライスレス。ていうかふれあいレス。多くを期待しちゃあいけなかったのかもしれませんが、結局一度しか行かなかったです、マル。
あー、でかい風呂入りてー。スーパー銭湯とか大好き。




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