スキップカウズ「スキカウ10周年爆走!」

スキップカウズのデビュー10周年記念ライブ@東京キネマ倶楽部。ちなみに東京キネマ倶楽部のステージには、私は某番組に出演したときに立ったことがある。
いまから10年前。以前にも少しここで書いたかもしれないが、当時私は、深夜営業のエロ本屋でアルバイトをしていた。その店内には有線があり、8時間半の勤務中、ずっとそれでかかる曲を聴いていた(だから私は、1997年の曲に限ってはイントロクイズにけっこう自信がある)。
ときどきかかる曲の中で、タイトルは知らないけれど、なぜか耳に残る曲があった。ヴォーカルの、少しかすれてハスキーな声が印象的だった。

雪の降る街角で 僕は君を待ってる
手を赤く染めて 白い息を吐いて
電柱の隅っこで 僕は君を待ってる
足がかじかんで ひとつになっている

雪の中、なかなか待ち合わせに現れない彼女を、かじかんで赤くなった手で待つ、という、なんだか切なくて、でもちょっと幸せそうな感じもする曲だった。

遠くから君が呼んでいる 遠くから僕は手を振ろう
遅刻した君より赤い手で ずっと待った 君よりも赤い手で
暇つぶしがへたな僕だから 待たせないでね
待っているのも つらい季節だからさ

それから程なくして。爆風スランプが目当てで行った日清パワーステーションのライブの対バンで、やたら騒々しいバンドを見た。ジャケットに電飾をつけたド派手な衣装、他のバンド目当ての者も飽きさせない客いじり、そして、お笑い芸人並みのMCトーク。圧倒されつつも面白くなって、「なんだ、こいつら?」と見ていると、彼らはあの、聴き覚えのある曲を演奏しだした。
その曲のタイトルが『赤い手』ということを、そしてその曲でデビューして間もない彼らがスキップカウズというバンドだということを、私はそのとき初めて知った。それから私は、ずっとスキカウが好きだった。
そして10年が経った。当時大学生で、二十歳で、クイズ研に所属していた私は、今年三十になり、大学卒業、就職、退職などを経ていまはクイズ作家をしている。10年前の私は、自分が10年後にそんなことをしているだなんて思ってもいなかった。そして、まだスキカウが活動しているであろうことも、おそらく。
この10年、私には私なりの変転があった。それはスキカウも同じだった。デビューの年、いきなりヴォーカルのイマヤスがオールナイトニッポン水曜一部のパーソナリティに抜擢、TVのタイアップなどもつき、ブレイク直前といわれてきた中でのソニーとの契約終了、所属レーベルをインディーズに移しての活動、所属事務所の変更。
そんな曲折を経ながら、スキカウはでも、まっすぐに、愚直に活動を続けてきた。年齢的にも「若手」といわれる年ではなくなり、また同期や後輩のバンドが次々と解散・活動休止する中で、ファンとともにライブを重ねてきた。売れないゆえの種々の制約の中で知恵を出し、自分のいる場所・与えられたものの中で活動し続けてきた。そして、10年。
ライブのMCで、リーダーの遠藤肇がこう語った。
「よく、『10年続けられた秘訣は?』って最近訊かれるんだけど、たぶん『のんき』だったからだと思う
簡単な言葉だ。でも、簡単にできることではない。「のんき」でい続けるためには強くなくてはならない。そして、信じていなくてはならないからだ。自分を、未来を。
きっと彼らは、これからも「のんき」にバンド活動を続けていくだろう。そして彼らがバンドを続ける限り、私もスキカウを応援していくと思う。
「この年になって止めてもいいことないしもう戻れないんで、これからもずっとスキップカウズ、やっていくから」
イマヤスは、ステージでそう表明した。その言葉を、私は信じる。そして私も、彼らのように「のんき」でい続けたい。そのために、強くあろうと思う。

OP.函館の女
1.ハイチーズ
2.そんなヤツ
3.カンチガイだった
4.素敵な毎日
5.あすなろ
6.喜びの日(新曲)
7.陽の当たる場所へ
8.遠い雲
9.返事はいらない
10.赤い手
11.鎌ヶ谷大仏 〜Dive to love〜(新曲)
(スキンシップタイム)
12.近くて遠い
13.愚か者の馬鹿
14.裏切りの歌
15.背筋
16.チャック全開
17.スルメ男
EN
1.喜びの日PV撮影(TAKE1)
2.喜びの日PV撮影(TAKE2)
3.犬の目
4.幸せな瞬間

アンコールの拍手のとき、誰からともなく、デビュー曲の『赤い手』の合唱が始まった。
明かりの消えた、誰もいないステージに響く『赤い手』に、ちょっとだけ目頭が熱くなったことを告白しておく。




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