ピリリと辛い

だいぶ前、女性の友達と「てんや」で昼食を食べていたときのこと。天丼の中に入っていた「ししとう」を食べながらの会話。


友達「『ししとう』ってさ、ときどき、すごく辛いのが混じってるじゃない?」
一斗「ああ、あるね。俺はあんまりそれに当たったことないけど」
友達「あたし、たまにそれに当たることがあるのね。別に辛いものって苦手じゃないんだけど、そんなとき、こんなふうに思うの」
一斗「なに?」
友達「他の人は、平気で、自然にししとうを食べているのに、なんであたしだけ、辛いのに当たっちゃったのかな、って」
一斗「うん」
友達「それはあたしのせいではないけど、ししとうのせいでもないでしょ?」
一斗「まぁ、そうだね」
友達「それでね、好きで好きでたまらない人がいて、なんか切なくて苦しいときにね」
一斗「また話が飛んだねぇ。いまそんな人がいるの?」
友達「いや、たとえば、なんだけど。でね、そんなときに思うんだけど、その人と接している他のたくさんの女の人は、彼のことを別に好きにならずにすんでるのに、なんであたしだけこんなに好きになっちゃったんだろうって。なんであたしだけ、こんなに彼のことが好きで、苦しんでいるんだろうって」
一斗「おぉー、なんか切ないぞ」
友達「他の多くの女の人みたいに、いっそ彼のことを特別好きになってなければ、こんなに苦しまなくてもすむのに」
一斗「じゃあ、いっそ好きにならなければよかったってこと?」
友達「それに近いかも」
一斗「えー、そこまで突き詰めて考えたことって俺はないなぁ。で、それとししとうってなんか関係あるの?」
友達「だから、そんなふうに苦しんでる自分が、ししとうの辛いところに当たっちゃったときに重なるな、って」
一斗「ははははははははははは、またエラいもんにたとえたなぁ」
友達ししとうは、いつ辛いのに当たっちゃうかわからないでしょ。『辛いのは絶対やだ』と思ってたって逃れられないこともあるし、逆に『辛いのを食べてやろう』と思ってたってそううまくはいかないよね」
一斗「うーん、なんかわかるようなわからないような」
友達「普通、そんなものにはたとえないと思うけど、恋ってそういうところが、なんだかししとうに似てるな、と思って…。ていうか思ったの! 文句ある?」
一斗「…いや、ないです」




私は小海老かきあげ天丼を食べていたよ。人気blogランキング