巡礼

文京区は白山にある、八百屋お七の墓に行ってまいりました。まぁ、ちょっと白山に用があったのでそのついで、なんですが。
ご存知の方も多いとは思いますが、江戸の初期、愛しい男・庄之助に再び会いたいと付け火をしたことで知られる女性です。浄瑠璃などの題材にもなったことでおなじみですね。私の中では、大学時代、教養科目でやった法学のテキストに「嘘の効用」の例として挙がっていたことでつとに有名です。あら、ご存じない? 捕らえられたお七を裁くとき、お奉行様が、まだ稚く可憐なお七を極刑に処すのは気の毒、と「そのほうは15歳(数え年)であろう」と訊くわけですよ。当時は15歳だと死罪にはならないことになっていましたから。ところがお七は「いえ、丙午の16歳でございます」と正直に答えてしまうわけですよ。そこで「はい、15歳です」といえば死罪にならなかったものを。ちなみに、お七が丙午だったことから、「丙午生まれの女は男を食い殺す」的なことが言われるようになった、というのもよく知られていますね。
って枕が長くなった。お七の話でした。白山下の交差点近く、円乗寺にそのお墓はございます。危うく炎上させそうになっちゃったお七の墓が円乗寺にある、ってのも皮肉なお話。
一応、ケータイ的なもので写真は撮りましたが、アップできるほどのクオリテーではないので、Wikipediaから画像を拝借。

おわかりでしょうか。真ん中にちっちゃめの墓があり、その両脇に、真ん中のよりは大きい墓がありますね。真ん中のものが円乗寺住職によって建てられたもの、右側が、歌舞伎でお七を演じ大当たりを取った初代岩井半四郎によって建立されたもの、そして左側が地元の有志によって建てられたもの、だそうです。お賽銭を10円ばかり入れて、手を合わせました。私だったら、愛しい人にもう一度会いたいという気持ちが募ったら、果たして火までつけてしまうだろうか? と自問しながら。さすがに火をつけるのはムリです。私にできることといったらせいぜい、廊下の火災報知ベルを鳴らすぐらいでしょうか。そしたら教室から「なんだ火事か?」とみんな出てきて、愛しいあの子に会えますから。中学生かよ。
ちなみに円乗寺の門前に、区の教育委員会が立てたお七の墓の謂れを書いた表示板があるんですが、その説明文に「お七の生家は駒込片町(本郷追分など)で、かなりの八百屋であった」とあるのがイカしてると思いました。「かなりの八百屋」っていう投げやり加減がなんかステキです。なにがどう「かなり」なのかご存知の方はご一報ください。




関係ないけど、坂本冬美の『夜桜お七』を口ずさんでいた。人気blogランキング