映画『ひゃくはち』観賞

(ネタバレなし)
最近映画づいてます。@TOHOシネマズ川崎。
↓音注意
http://www.108movie.jp/index.html
評価は★★★★★。スポーツなんか観るのもやるのも大っ嫌いな私をして、高校野球を描いたこの作品が、五つ星をつけさしめました(←なんかエラそう)。
以前の日記のコメントで、とねぬまさんが紹介してくださった小説*1の映画化。というか、原作の小説の発売前に映画化が決定(!)していたとか。しかも、作者はこれがデビュー小説(!!)で文学賞などの受賞もいまのところナシ(!!!)という、型破りな作品。
甲子園常連の名門校・京浜高校野球部。プロにスカウトされるような実力のある部員たちもいる中、ノブ(中村蒼)と雅人(斉藤嘉樹)は補欠部員だった。1年生・2年生の2年間、血のにじむような練習や雑用に耐えて最終学年の3年生になり、2人で甲子園のベンチ入りを果たそうと目指す。彼らの目論見では、なんとか最後の2人ぐらいにはすべり込めそうだったが、プロも目をつける超有望株の1年生が入部してきたことから、残る枠は事実上あと一つに。苦楽を共にしてきたノブと雅人はその瞬間からライバルとなり、あと一つの、そして最初で最後の甲子園のベンチを賭けて争う…。
私自身は甲子園にも部活にもスポーツにも縁がない人間だとはいえ、出身高校が甲子園での優勝も経験し、「強豪・名門」と(かつては)呼ばれたところだったので、坊主頭の部員たちの日々の生活がとてもリアルに感じられ、懐かしくなりました。なんというか、「力いっぱい、全身で生きている」ような高校生たちのパワーとか、おバカっぷりとか、ひたむきさとか、そういったものに浸れた2時間だったと思います。「部室と、男の臭い」が、劇場の中にまで立ち込めてくるようでした。
いま、甲子園は大会日程の真っ最中です。プレーしている球児たちの陰には、地方大会で敗れた数十万の球児がいるわけですが、名門校の中にも、3年間、試合に出られずグラウンドの土も踏めずに終わる人たちがいるわけで。そんな、当たり前だけれど(だからこそ?)忘れられがちな存在にスポットを当てて、清々しくさわやかな作品に仕上がっています。
物語後半でのある伏線が、ラストシーンで解かれるのですが、そこでは思わず号泣してしまいました(会場では、笑っている人のほうが多かったようですが)。確かに笑えるシーンなんだけど、私はそこに込められた、「一瞬の輝き」みたいなものに心を打たれてしまったので。というわけでオススメです。甲子園とは、かくも様々なドラマを生むんだなぁ。
テーマ曲は湘南乃風の『晴伝説』。湘南乃風も好きではないアーチストでしたが、この作品に『晴伝説』はピッタリとハマっていて、よかったと思います。作品の舞台が横浜だったのも個人的には◎。





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