アンサーソング

今度、誰かとカラオケに行ったら、その人の歌った曲のアンサーソングをすかさず次に入れて歌う、というキザな(?)趣向をやってみようと思い立った*1。とはいっても、アンサーソングってろくに知らないなぁということに気付いたので、Wikipedia先生にお尋ねしてみた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%82%B0
けっこうあるけれど、私が素で知っていたのは爆風スランプの『大きな玉ねぎの下で 〜はるかなる想い〜』へのアンサーソングであるYURIMARIの『初恋 〜はるかなる想い〜』と*2、やはり同じく爆風の『リゾ・ラバ -Resort Lovers-』に対する、爆風自身のアンサーソング『リゾラバ〜International〜』ぐらいだった*3。まぁ、爆風ファンとしてはこのへんは基本だよなぁ、と思っていたら、そんな私が知らない爆風の曲へのアンサーソングを見つけた。
Red Pepper Girlsという、2008年に結成された韓国出身の双子女性ユニット(全然知らなかった)の『Summer Memories〜水泳部でした〜』という曲だ。このタイトルと、爆風というキーワードからファンが思い出す曲はあれしかない。1984年のデビューアルバム『よい』収録の『涙の陸上部』だ。

中学生だろうか、高校生だろうか。陸上部に所属する少年は、ひそかに水泳部の少女に思いを寄せている。けれど、そんな思いを伝えられなくて、ついつい、その子の声がちょっとだけ聞こえる、その子の姿がちょっとだけ見えるプールサイドの近くを、懸命に走る。それぐらいのことしかできなくて、夏休みの日差しの中、少年は練習で走る。
しかし、夕立の雨宿りに入った教室の中で偶然、その水泳部の少女が他の男子とキスしているところを目撃してしまう。「夕立よりも蛇口よりも涙が出た」少年の初恋は、「遠くの空に夕焼け戻る頃に」はかなく、ほろ苦くついえる。
爆風の「お家芸」ともいえる、「青春せつなソング」路線の代表曲の『涙の陸上部』に、アンサーソングがあったとは! さっそく調べてみると、作詞はやはりサンプラザ中野くんで、作曲はプロデューサーのD・A・Iだった。あっさりと動画も見つかったので、あわてて(別にあわてることもないが)聴くことにした。

夏休みの午後の午後の日差し なにもかも陽炎の中
プールサイド走ってたあなたから見えたのは 私じゃなくたぶん蜃気楼ね

夏休みの午後の午後の日差し なにもかも陽炎の中
プールサイド駆け抜けた 泣きながら走ってたあなたのこといまも覚えている

たぶん、酒が入っていたせいだと思う。それから、今夜の蒸し暑さのせいだと思う。目から汗が噴き出してきて困った。「夏休みの午後の日差し」という、元曲にも出てくるフレーズのさりげなさが、やはり心憎い。
私は中学時代、陸上部ではなかったけれど、そして、好きな子も水泳部ではなかったけれど。ある種の普遍さをはらんだ青春の原風景が、『涙の陸上部』にはリアルにつまっている。そして、ふり返ることによってしか気付くことができないという、青春のまた別の普遍さも、『Summer Memories〜水泳部でした〜』には込められている。
私が初めて元曲を聴いてから、もう二十年以上になる。まだこんなことを思い出して、こんな記憶を刺激されて搾られるなみd…、もとい、汗があることに驚いて、そしてちょっと苦笑した。とりわけいまの自分は、とある事情によりこの曲が余計に気持ちの中に入ってきてしまう。
いい曲を発見できてよかった。Red Pepper Girlsは韓国出身だが、いいものはいいと書いてしまおう。たとえその結果、明日、目が覚めたとき「反韓流」のデモ隊が数万人、私の家を取り巻いていたとしても(←なの?)。



『涙陸』は、ベスト盤『青春玉』収録のアカペラバージョンも押さえておきたい。人気blogランキング

*1:最近、それぐらいしか思い立つことがない。

*2:サブタイトルをそろえるあたりなんざ、ニクい。後者はサンプラザ中野(当時)作詞、パッパラー河合作曲である。

*3:他に、アンサーソングというわけではないが、『少女A』(中森明菜)に対する『週刊東京「少女A」』、『お嫁サンバ』(郷ひろみ)に対する『お婿サンバ』などもある。