フランス映画なんて人生で一回しか観たことない

というわけで、2年2ヶ月ぶりのクイズ出題エントリでしたが、思っていた以上にたくさんの方からご回答をいただきました。ご常連3名に加え、(たぶん)お初の「消防士セディ」さんまで。「ハウス・世界名作劇場」って感じですね。ありがとうございます。読者様が最低5名いらっしゃることがわかったので、これからも細々と続けていければいいなと思います。
さて、2年ぶりだったんで一つ忘れていたことがありました。それは、当ブログの読者様の「ひと筋縄ではいかなさ」です。具体的には、「真面目に答えたもん負け」的なバラエティと想像力に富んだご回答(笑)。単純にボケているわけではなく、それでいてストレートでないお答えに唸らされました。すばらしいですね。
では、正解発表の前に問題のおさらいです。

パリで空き巣が捕まった。警察の取調べでアリバイを訊かれ、男は答えた。
男 「その日は映画を観てました」
警察「嘘をつけ、なんの映画だ」
男 「『        』です」
警察「では、ストーリーを言ってみろ」


Q.『        』に当てはまる映画は何?

正解は・・・去年マリエンバートででした! というわけで正解者はなし! 残念でした。
去年マリエンバートで』は、1961年制作の仏・伊合作映画です。ヌーヴォー・ロマンの旗手アラン・ロブ=グリエ原作、アラン・レネ監督の作品。ストーリーは・・・私が説明するより、大内一憲・近藤雅和共著、『20世紀文学映画館』(集英社文庫)を引用してみます。
20世紀文学 映画館 (集英社文庫)

ロブ=グリエヌーヴォー・ロマンの旗手的存在なのだが『消しゴム』『覗く人』『嫉妬』とその代表作はいずれも難解かつ観念的であるため映画化にはいたっていない。『去年マリエンバートで』も厳密に言えば映画のためのシナリオであって小説ではない。
(中略)
ストーリーと呼べるものは存在しない。強いてあげればフランス式庭園を持った豪壮な城館で男(アルベルタッツィ)と女(セイリグ)が出会い、「去年会ったかどうか、会ったとすればそれはマリエンバートだったか、それともカルルスタットだったか」といった対話のリフレインであり、最終的には女が夫を捨てて男とともに城館を去って行く・・・といったあらすじである。しかしこの映画ではストーリーはあまり大きな意味は持たない

というわけで、もうおわかりでしょう。『去年・・・』が難解なうえに、ストーリーらしいストーリーがないことをテーマにしたジョークだったのでした。「では、ストーリーを(言えるものなら)言ってみろ」ということですね。みなさん、「空き巣」に気を取られ過ぎていたのかもしれませんが、「空き巣」そのものに直接意味はなく、犯罪は別に強盗でも殺人でもなんでもよかったのでした。なお、このジョークは監督のアラン・レネが好んで引用したと言われています。さすがに難解だという自覚はあったのでしょうかね。
ちなみにもちろん、私は読んだことも観たこともありません。と思いきや、なぜか家に、この映画のDVDがあることがついさっき発覚しました。自分で買った記憶はないので、もしかしたら誰かからもらったか何かしたものなのかもしれません。というわけで、今度観てみようと思います。無事、面白いと感じられたら、ここでレビューするかもしれません。
ご回答くださったみなさん、ありがとうございました。また、この手のエントリがありましたら参加してやってください。



ちなみに私が唯一観たことがあるフランス映画は『ぼくの大切なともだち』。人気blogランキング