私はこんなのに萌える・その1

本来は「萌え」なんて言葉、自分からは死んでも使いたくないのだが、まぁこれから語らんとするところの趣旨を表すのにベンリな言葉なので便宜上使う。
そもそも私はへそ曲がりなので、「萌え」と呼ばれるもの中でもポピュラリティの高いメイドだの妹だのなんぞではピクリとも萌えない。ではどんなので萌えるのよ? ということで誰に訊かれてもいないのに(むしろ誰も聞きたくないのに)セキララに告白していくというコーナー。早くもシリーズ化する気マンマンですよ。アホだ。
というわけでまず第1弾はこちら。
「明らかなデートスポットにいる、どう見てもデートしてる感じなんだけど、女性の方が敬語を使っているカップル」
どうですか? ダメ? うそーん。
だって敬語ってことは2人にまだ距離があるってことでしょ? でもデートしてるんですよ? これは萌えますって。もしかしたら、まだ付き合い始めて日が浅くて初々しいのかもしれない。いや、ヘタしたらまだ「先輩・後輩」という関係から完全に抜け切れてすらいないのかもしれない。おそらく誘ったのは男の方なんだろうが、女性だって憎からず思っているからついてきたわけだ。ちょっとしたタイミングを計って、男は手をつなぐチャンス*1を窺っているのかもしれない。女は距離を縮めるきっかけを探しているのかもしれない。そんな初々しいドキドキのグルグルが渦巻きながら、水族館でアザラシを見ていたり、遊園地で「ハヤブサ」の列に並んでいたりするわけですよ。そりゃあ萌えますって。神輿の二、三基も担ぎますって。「あのセイウチ、課長に似てない?」「アハハハハハ、悪いですよー。でも似てますねー」と、手をつなぐでも肩を抱くでもないビミョーな距離感で語らうんだよチミ。いいぞいいぞー。「あ、次はあれ乗ろうよ、『タワーハッカー』」「えー、無理です無理です。あたし、絶叫マシンってダメなんですよ」なんてやり取りがあり、「いいじゃん、乗ってみたら楽しいんだって。ほら、行こ」というドサクサにまぎれて男は手を握ろうとし、「いや、ホント無理、マジ無理だって」と、女はドサクサにまぎれてタメ口を使ってみる、と。ウッヒョー! 気づいてるねっ。お互い絶対気づいてるねっ。「あ、いまユミちゃん、タメ口きいた」「あ、ホンダさんに手、握られてる」。でもっ! ここはあえてっ! 気づかないフリで押し通すッッッッッ!!!!!!!!(『ジョジョ』風)。
すいません、取り乱しました。というわけでですね、「敬語を使うカップル」の「萌え」ポイントは、そういう初々しさとその初々しさを打ち破ろうという葛藤や小さな決心なんですよ。中山忍ですよ。『電車男』ヒットの要因の6%ぐらいは「『エルメス』の敬語」であろうと私はみている。私の他にも世間には潜在的な「女子敬語カップル『萌え』」層がいるのではないか。
この「女子敬語カップル」のクライマックスは別れ際であーる。もう馴れ切ったカップルでは「今日は楽しかったな」「うん、超楽しかったー。また遊び行こ、ね?(はぁと&チュ)」などとつまらんもんだ。けどなぁ坊主、「女子敬語カップル」だとなぁ、ちょっといいんだぞぅ。おっと、坊主にゃまだ早ぇかな(←誰?)。
「今日は、ありがとうございました」
「遅くなっちゃったから、気をつけてね」(まだ送っていくほどの間柄ではない)
「はい。あー、でも楽しかった。楽しかった分、明日からまた仕事なのが憂鬱ですね」
「確かにね」
「ずっと日曜だったらな、なんて子供っぽいことを考えちゃいました」(ちょっとカマかけてますよー、ここ)
「でももうすぐ月曜になっちゃうよ」(しかし気づいてないんですよー、こいつ)
「じゃあ、これで。あ、今日のこと、他の人にバレるとアレなんで内緒ですよ」
「うん、わかってるよ。じゃあ、また明日ね」(ここで2人は「秘密の共有」をすることで、共犯者意識によりさらに距離は近づく)
「はい、おやすみなさい」
どうよ、この情緒、この風情。「敬語」という言語文化のある日本ならではの風景ですわよ。2006年は来るね、「敬語ブーム」。「方言ブーム」の次は「敬語ブーム」ですって。乗り遅れないうちに正しい敬語、正しい日本語を身に着けておきましょう。そのために木曜18時55分からの『クイズ!日本語王』を…。



おや、まだ敬語? なんつって。人気blogランキング

*1:個人的な希望では、「横断歩道とか人ごみを歩くときにドサクサにまぎれて」でお願いしたい。