体育祭の都市伝説

ある中学校に、体の弱い生徒がいました。
体が弱いためスポーツは何をやらせてもダメで、徒競走ではいつもビリ、少し走っただけでも顎が上がってしまいました。
その学校で体育祭が行われた時のことです。その学校では、3年の男子だけマラソン競技がありました。その生徒は担任の先生に、自分は体が弱いので、マラソンは辞退させてもらいたい、と願い出ました。しかし、担任の先生は体育の先生で「みんなが走るのにお前だけ走らないのはよくない。別に何位になれとか何分を切れと言っているわけではないのだから、ちゃんとみんなと一緒に出て完走しろ」と、生徒の願い出を聞き入れませんでした。
彼は憂鬱なまま体育祭の日を迎え、緊張と不安の中、マラソンに参加しました。
その生徒は一生懸命走りましたが、他の男子はどんどん彼を追い抜いていきます。とうとう一人ぼっちになってしまいましたが、先生の言いつけがあったので、彼は弱い体を引きずって完走を目指しました。
校庭ではもう、その生徒を除く全ての男子がゴールをしており、ブービーからだいぶ離された彼をみんなで待っていました。みんなが待つ中、フラフラになりながら彼は走ってきました。そんな彼を、ゴール前に集まったクラスメイト達は拍手で迎えました。
しかし無理が祟ったのか、彼はゴールをした途端にその場に倒れこみ、心臓麻痺で亡くなってしまいました。


後日、彼の担任だった体育の先生が、体育祭で撮った写真が現像されてきました。
その先生はマラソンのゴール付近で一人ひとりの生徒がゴールする瞬間を写真に収めていたのです。トップの子の写った写真から、1枚1枚写真をめくっていくと、最後の1枚は亡くなった生徒がまさにゴールして、倒れる寸前の写真でした。
「やはり彼の言うとおり、辞退させていれば…」と思いながらその写真を見た先生は、蒼ざめて息を飲みました。
苦悶の表情を浮かべ、今まさに倒れようとする少年。そして、一瞬後の悲劇を知らずに少年に向けて暖かい拍手を送る他の生徒たち…。
何万分の一の偶然でしょうか。
写真の中、少年に向けて拍手を送る生徒たちの手は全てぴったりと合わさっていました。
まるで合掌しているかのように…。



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