焼肉のジンクス

というわけで、昨日焼肉屋に2人だけで行く男女はデキている」という話について考察(というほどのものではないですが)してみたわけなのですがhttp://d.hatena.ne.jp/Chatterton/20051024/p2、その話の由来なり理由についてちょっとご意見を募ったところ、何人かの方々からコメントをいただけました。どうもありがとうございます。コメントをくださった皆様には、「一斗茶太的日常」のロゴが入りました、番組オリジナルの鯨幕をプレゼントいたします。
で、皆さんのご意見を総合いたしますと、やはりというか何というか「気取って食べようにも臭いがついたりタレがついたり脂がついたりと、ちょっとあけすけな感じで食べざるを得ない食事なので、そのような姿をお互いに見せ合える関係の男女というのは既にデキていると解されるからである」というふうな感じになりましたね。実に妥当な意見です。それがまともで現実的な推論ですよ。ねぇ? 何なんですか、ユッケがエロいだとか性行為のメタファーだとか。私ですけど。ま、ともあれ一応の決着というか、結論です。
しかし、皆さんがご意見の中で見落としていたのか、気づいていてあえてネグったのかは知りませんが、実はこういう「気取って食べられない、あけすけな食べ物」というのは焼肉だけではありませんよね。えー、いまパっと適切な例示ができませんが、「それを食べている姿を見せ合える関係」が特別な関係だと思われる食事ってまだ他にもあるじゃないですか。そういうちょっと下世話な、ちょっとパワフルなフードって。しかしそれの中でも特に「焼肉」なのは何故なのか、というギモンはまだ私の中で解けません。
とりあえず、皆さんの意見から導かれた結論は正しいという前提で、「ではそれでもなぜあえて『焼肉』なのか?」について考えてみようと思います。これはやはり、何だかんだ言ってももう「焼肉を食べてスタミナをつけた後に行われるべき行為」が背後にあるからではないか、と私は考えるわけですよ。……イヤ、違いますって。ムリからH方面に持っていこうとしてるわけじゃないですって。「男女がデキてる」の意味するところを考えると、それへの言及は不可避なんですって。
「焼肉、美味しかったね」
「うん。ユッケが超美味しかったー」
「あ、口の周りに卵ついてるぞ」
「え、やだぁ。恥ずかしい」
とかなんとかいう展開になるよな、普通な。で、
「美味しかったのはいいけど、すごく煙臭くない? 俺たち」
「うん。なんかちょっとこれで電車とか乗るの、勇気いるかも。シャンプーしたいなー」
「シャンプー? うん、俺もちょっとシャワー浴びたいかな…」。
ね? 何が「ね?」なのか知らないけど、ここまでの流れに不自然なところは微塵もないではないですか。いわばプレリュードですよ。枕詞ですよ。「H」の。「目黒エンペラー」(←古ぅっ)の。そういえば目黒エリアは最近、焼肉激戦区とも聞きますし。そして! 何より決定的だったのは櫻庭さんからの情報。私は初めて知りましたが、ホテルと結託してクーポン的なものを置いている焼肉屋もあるというではないですか! こーれはもう決定打だって。焼肉=セックス!(←三村マサカズ風)だって(あーあ、言い切っちゃった)。
さらにもうひとつ。noda-shuさんの意見にありましたが、「クサイ仲」というキーワードも見逃せません。煙で臭くなるだけではありませんよ。焼肉には、ニンニクだって切っても切れない関係にあります。そう、ニンニクをともに食べる、ということも「デキている」ということのひとつのファクターなのであります。「また? お前しつこいよ」と言われるでしょうが、またしても中島らもから引用。

ニンニク臭くらいで減る友だちなら、それはいなくてもいい友だちだ。ほんとうの友人なり恋人なりであれば、その人はニンニクをともにしてくれるはずだ。ニンニクはつまり共犯者を受け入れるための踏み絵なのである。   (『愛をひっかけるための釘』集英社文庫

ニンニクに限らず、共犯者意識というのは互いの距離を縮めます。会社の先輩(女性)と2人で仕事で外出したとしましょう。用件も済んで夕方。直帰にはまだ早く、帰社せねば、という時間だが「ねぇ、どこかでお茶でもして時間潰して、それで帰っちゃおうよ?」と、いたずらっぽい顔で提案する彼女。当然、反対するわけもなく、思いがけず彼女とゆっくりティータイムだ。で、小一時間ばかり経って彼女が会社に「いま終わりました」とウソ電話。電話を終えて私に目配せし、舌をペロっと出す彼女。「一斗くん、秘密だからね」「…はい」。どうよ? これで縮まらない距離なら、それは一緒に寝ようが結婚しようが一生縮まらないね。話が脱線しました。とにかく、クサい食い物を2人で食ったクサい仲。そんな秘密の共有、共犯者としての意識はやはりデキている男女間にしか成立しない、あるいは逆にその共有と意識が2人をデキさせるということなのですよ。
と、いうわけでまとめっ!
なぜ、「焼肉屋に2人だけで行く男女はデキている」と言われるのか?
①焼肉は汚れたり脂がついたりと、気取って食べられないのでそんな姿を見せ合うほどお互い気を許しているから
②焼肉を食べてスタミナをつけたあと、自然な流れとしてそういうことになるから
③煙やニンニクなどで臭いがつくような臭い食べ物を2人で食べることによる共犯者意識で2人の距離は非常に近いから
はいー決定ー! パチパチパチパチ。出たね。出ちゃったね結論。もうこれで明日から、仲間と話をしていてこの話題が出て「何でなんだ?」って訊かれても答えられますよね。私ももちろんちゃんと答えますよ、「ユッケがエロいから」って。



おでんに続いて焼肉も食いたくなった。人気blogランキング