デキてる?判定会議 Vol.2

なんか焼肉の話からこっち、エントリの内容が、いつにもましてちょっと露骨にシモだな、と気づき反省しました。特に改善はしませんけれども。
というわけで昨日に引き続き、「男女が2人で○○する」という行動は、どこまで「デキている」のかを真面目に、アツく、そして空虚に考えていくコーナー。読者の皆さんを快調に置き去りにしていっているみたいで、いい感じである。昨日の内容はこちらをご参照。http://d.hatena.ne.jp/Chatterton/20051026。mykissmykissさんの問題提起を受けて私が暫定的に設定した「デキてるボーダーズ」はこんなの。

蕎麦屋で飲み(昼間っから)」>>「デパ地下」≧「オイスターバー」≧「焼肉」>「焼き鳥」≧「スポーツジム」>>>「カラオケ」>「お酒」>>「談話室滝沢

これを叩き台にしてやっていくが、昨日は「デパ地下」まで言及した。
で3位の「オイスターバー」である。人口に膾炙した「焼肉屋に2人で行く男女はデキてる」の「焼肉屋」より上位に位置したそのワケとは?
まず、オイスターバーと焼肉屋の絶対的な店舗数の差である。いまや東京の焼肉屋の店舗数はソウルのそれを上回っている(チャタ総研調べ)といわれているが、オイスターバーはまだそんなに多くはない。また、焼肉に比べてお値段も張る。「牛角」はあっても「牡蠣角」はないのだから。そんな特別なお店、やはり特別な関係でなければ2人では行かないとみてよいだろう。
それだけではない。不本意ながらシモ方面に話を振るが、昔から「夜の牡蠣は見逃すな」と言われている。これは夜、そのようなことに及ぶ前には牡蠣をたくさん食べておけ、という意味の迷信だ。牡蠣に関するプチ情報では「Rのつかない月には食べるな」の次に有名であり、用語集では頻度⑭。覚えておくように。で、一見根拠のなさそうな迷信に実は合理的裏付けがあるのはよくある話で、これもご他聞に漏れない。牡蠣には別名「セックス・ミネラル」と呼ばれる亜鉛が豊富に含まれており、これが不足すると男性の精子の量にも影響すると言わ…待って、まだ閉じないで! ここまではまだマジメな話だから! とにかく、「男女がデキてる」というのをオトナとして考察する場合、牡蠣は大事な意味を持ってくるのである。
さらに、またしてもシモで甚だ不本意だが、昔から牡蠣や鮑、赤貝などの貝はその形状からしばしば女性器に見立てられる。先の「夜の牡蠣は見逃すな」のように、たとえば性的に強くなるために性的な形のものを食べる、といったような例*1があるが、そのような「形式」に「実質」が宿るとした考え方を、『金枝篇』で名高い民俗学者ジェームズ・ジョージ・フレイザー は「感応呪術」と呼んだ。そう、「オイスターバー」こそは男女の「夜の官能呪術」、間違えた。「感応呪術」の場だったのである!
どうですか、フレイザーまで持ち出してきちゃったぞ。我ながら多少は説得力のあるヨタが書けたところで、「焼肉」は飛ばして「焼き鳥」に行こう*2。同じ肉類を焼いて食べるとはいいながら、焼肉よりは一格落ちる。この差は何か? カンのいい方はお気づきだろうが、カギは「焼肉は客が自分で肉を焼くが、焼き鳥はそうではない」ということである。大塚愛の『黒毛和牛上塩タン焼き680円』を考えてみたまえ。

ずぅーっと会いたくて待ってたの
あみの上に優しく寝かせて
あなたにほてらされて
あたしは色が変わるくらい

ここに、焼肉という作業のダイレクトさが現れている。「あみの上に優しく寝かせて」くれるのは他ならぬ「あなた」なのであって、これが焼き鳥だと「炭の上に優しく寝かせて」くれるのは焼き方さんとか大将なんである。主導権は食べる当事者ではなくお店の人だ。せっかく連れてった彼女が焼き鳥屋の親父かなんかに火照らされた日には元も子もない。やはり2人で、箸で肉の世話を焼いて楽しんでこその焼肉である。「これもう焼けてるよ」だの「私ミノ嫌いだから食べて」だの「やだ、それあたしが食べようと思って焼いてたんだよ」だのの、「2人でプチ調理」的親密感*3が焼き鳥に決定的に不足しているものであることは否めない。
また、焼肉のときから私はこの説を押しているのだが、網の上の肉を焼くというのは実にセクシャルなメタファーではなかろうか。真っ赤に熱せられた焼き網の上に、優しく肉片を置く。なすがまま網の上に寝た肉片は、最初怯えて不安そうだが、火がつくと身をよじらせ、肉汁を滴らせる。それを箸で優しく突き回しつつ、丹念にひっくり返し、そして戻す。それを繰り返す。中がまだほんのり赤いくらいにほどよく火が通ったら、タレをかけて食す。
……ごめんなさい。もうしません。って何を謝ってるんだ私は。単に焼肉を食べるシーンを描写しただけではないか。しかしここは一応謝っといた方がいいかもな、雰囲気的に。思わずそう感じてしまうほど、実は焼肉とはエロティックではありますまいかっ!? よって焼き鳥は焼肉の下の位置ということでよろしかろう。そういった意味合いで焼き鳥が焼肉に対抗し得るポイントは「肉が串に刺さっている」というところぐらいなのであるから。
さぁ、これを読んでくれている女性のリアル知り合いが、木更津の海のごとく遠浅で引きまくっているのを十分感じつつ、続きは次回でございます。To be concluded(?)。



今回の企画は皆さんの感想を聞くのが少し怖い…。人気blogランキング

*1:他には「ウニを食べると頭が良くなる(脳漿に似ているウニを食べると脳によい)」など。これらは「夜の牡蠣」と同じように、のちに科学的・栄養学的な裏付けがされている。

*2:焼肉についてはhttp://d.hatena.ne.jp/Chatterton/20051025をご参照。

*3:同様なノリに「自分で焼く方式のお好み焼き屋」が挙げられる。