爆風スランプ「45歳のフェス『青春の日』」

本当は、2日目のことはあまり詳しく書くつもりはなかった。セットリストを紹介するぐらいに留めようと思っていた。自分が今回の復活ライブについて考えたことや感じたことは、昨日のエントリで、ひととおり書いたつもりだったからだ。
しかしどうしてもここに書き記しておかなければならない、いや、書き記しておきたいことが、2日目の「青春の日」であった。だから、その出来事について書く。

1.涙の陸上部
2.それから
3.夕焼け物語
4.蜜柑
5.健康優良児
6.天使の涙
7.青春りっしんべん
8.ひどく暑かった日のラヴソング
9.週刊東京『少女A』
10.無理だ!決定盤
11.耳たぶ
12.目ん玉
13.京都マイ・ラブ
14.45歳の地図 〜リストラヴァージョン〜
15.Runner
16.涙^2
17.リゾ・ラバ −Resort Lovers−
18.まっくろけ

EN1
19.どうしてどうしてクリスマス
20.The Blue Bus Blues
21.大きな玉ねぎの下で

EN2
22.旅人よ 〜The Longest Journey〜

二度目のアンコールの拍手に応えて、メンバーがステージに姿を現した。2日間のライブも、終わりに近づこうとしている。
会場のテンションは最高潮だった。誰もが手を振り、声の限りに声援を送っていた。7年間、ずっと爆風スランプの復活を信じて待っていた大勢のファンは、総立ちで彼らを出迎えていた。拍手は、メンバーがステージに現れても鳴り止まなかった。
「また再び逢えるときまで、皆さんも、そして我々も、どうか笑顔を絶やさないで生きていきましょう。この曲を、皆さんに、捧げます」。そういうと、サンプラザ中野は本当に最後の曲を歌い始めた。『旅人よ 〜The Longest Journey〜』。ギターのイントロに弾かれて、大きな歓声が挙がった。

なんだか本当に安心したよ 無茶して心を傷つけただろう

そのとおりだった。心を傷つけたかどうかは別にしても、その場にいたオーディエンスはみな、いや、当日会場に来られなかったさらに多くのファンも、爆風スランプの活動休止に心を痛め、心配していた。「解散」ではなく、「活動休止」。その状態の不安定さに気を揉みながらも、復活の日を待っていた。いつかまた爆風スランプの曲が聴ける、ライブが観られると信じて待っていた。

なんだか本当に安心したよ お前の笑顔にいま会えたから

そのとおりだった。待ち続けたファンは、もういい年になってはいても、年の瀬の忙しい時期ではあっても、傍らには子供を伴っていても、この日のために新宿コマ劇場に駆けつけ、我々を7年間待たせた爆風スランプの前に笑顔で集った。あの頃とはいくぶん年を重ねたが、あの頃と変わらないせいいっぱいの笑顔で、爆風スランプに会いに来たのだ。
その瞬間、歌詞の途中で歌声が途切れた。
サンプラザ中野が、泣いていた。下を向き、声を詰まらせて嗚咽していた。我々のヒーローだった彼は、サングラスの陰に隠された目に、いっぱいの涙を浮かべていた。
7年間を待ち侘びていたのは、ファンだけではなかったのだ。
途切れた歌声は、総立ちのオーディエンスの大合唱に引き取られた。私も、声が嗄れそうになるまで歌った。ワンコーラス目は、オーディエンスの歌声で満たされることになった。

やるせない夜は街路樹を アンテナにしてあの人に
SOSでも打ちまくれ 計算できない悲しみの

強い風にいま立ち向かっていく 遥か彼方を目指した旅人よ
いつか再び君に出会うまでは どうか どうか笑顔を絶やさぬまま

再び彼らに会うために、我々は笑顔を絶やさぬようにして、7年という時間を過ごしてきた。
だからまたいつか、必ず爆風スランプに出会うために、これからも笑顔を絶やさぬまま生きていこう。遥か彼方を目指して、強い風に立ち向かっていこう。私はそう思った。
ヴォーカルが涙するライブを観たのは初めてだった。ライブを観て泣いている人を観たのも初めてだった。
そして、ライブを観て自分が泣いたのも初めてだった。


あなたの涙がこぼれるとき 再びドラマが始まる
                             (『天国レイン』)



このライブの模様はGyaOでやるらしいので、要チェックのこと。人気blogランキング