SHOW、そうストリップ

私はよく、横浜市西区は老松の中央図書館に行く。野毛の小高い丘の中ほどという閑静な場所に建ち、最上階の5階からはランドマークタワーやコスモクロック、インターコンチネンタルホテルなども望める、落ち着いたいい図書館である。
そんな図書館なんていう文教施設のすぐ近くに、しかしそれにはあまり似つかわしくないような施設がひとつ建っている。浜劇である。それはありていに言えば(いや、言わなくても)ストリップ小屋だ。http://www.rockza.net/hamageki/index.html(リンク先にアダルトな画像や表現はありません)。
図書館のそんな近く(ついでにいえば市長公舎もすぐ近く)にストリップ小屋なんて作っていいの? というツッコミはさて置くにして、私はいつもそのストリップ小屋を見る度に不思議な気分にとらわれ、ひとつの疑問が湧く。すなわち「ストリップって何がいいの? どこが魅力なの?」ということだ。もう少し私の疑問を詳しく説明するため、うみのさかな&宝船蓬莱*1著『うみのさかな&宝船蓬莱の幕の内弁当』うみのさかな&宝船蓬莱の幕の内弁当 (角川文庫)から引用しよう。

性の商品化が多様化し、各人の好みに合わせてどんな物でもすぐ手に入る現代に「ストリップ」という隔靴掻痒・腹八分目の代物が未だに(中略)栄えている事が、最大の驚きだった。
つまり、ストリップの“女性器を見せてもらえる”に比べ、他の風俗業はそれプラス“二人きりで会話できてさわれる”とか“口でしてもらえる”とか“全部させてもらえる”ワケで、早い話が「ギター見るだけ二時間百円」に毎日行くくらいなら「ギター貸します二時間千円」を十日に一回利用した方がいいと思うのだ。

私は今まで、ストリップを見に行ったことはない。本当だ。こんなことで嘘をついてどうしようというのだ。そして、別に「ねぇ、お前ストリップって見に行ったことある?」と周りに訊いて回ったことはないが、戦後間もなくの「額縁ショー」でもあるまいし、今日び、見に行ったことのある男性が多数派だとはどうも思えない。しかし、私の大学時代のサークルの先輩や同期の間で、ひと頃、無闇にストリップブームが巻き起こったことがあり(それも全員が揃いも揃って既に大学を卒業しているはずの年齢の時点で巻き起こったのだから何ともはや)、私も見に行こうと誘われたことがある*2。もちろん断ったのだが、そんな私をよそに、彼らは一時期、だいぶ入れあげて通っていた。今となっては、何がそんなによかったのかを彼らに聴いておくべきだったか。ちなみにいうと彼らは「ギター見るだけ二時間百円」だけでなく、「ギター貸します二時間千円」のほうの「醍醐味」も知っていたようだったので、それでもなお「見るだけ」のよさを求めて通っていたことになる。
ここからは推測だ。私なりに、ストリップのよさを思量してみる。まず、これだけグラビアだのAVだのDVDだのネットだのが氾濫しまくっている現代、単に「裸体を見たい」という欲求の充足のみであるとは思えない。また、二次元でなく三次元のそれが見たい、という欲求があるとしても、先に引用した文にあるように「見〜て〜る〜だ〜け〜」の隔靴掻痒感をあえて味わいたいという人も少ないのではなかろうか(なしとはしないが)。よって、ストリップならではの魅力がきっとあるわけだ。まず、踊り子さんがとっても美しい、あるいは可愛らしい人たちなのではないか。これは百聞は一見に如かずなので、こちらをご覧いただこう。http://www.rockza.net/hamageki/next.html(リンク先にアダルトな画像や表現はありません)。
……えーと。あっ、アレだろ? 画素だろ? 画素がちょっとナニなんだろ? 本当はもっと美人で可愛い踊り子さんがワンサカいるんだろ? そうだよね、そうだといってよ浜劇ジョー! というわけで、ちょっとルックス関係の線は、説得力的に弱いかもと思わざるを得ない。これだったら、TSUTAYA的なお店で借りられたりする映像作品とか「ギター貸します二時間千円」のお店にはもっと若くて美しかったり可愛かったりする子がたくさんいる。間違えた、いると聞いたことがある。よって、殊更この点がストリップの魅力だとは考えにくい。まぁ、かつて一世を風靡した映像作品の女優さんが、女優業を引退後やっていることもあるので、じゃなくてあるらしいので、それを求めて行く人もいるのかもしれないが。
となると、やはり「美しく技巧的なダンス」「職人的ともいえるストリップティーズ」に魅力があるのか! そうだ、そうに違いない! きっと目の肥えた常連達が「ほほぅ、美しい」とか「彼女のダンスは芸術だ」などと、顎に手を当てて言っているのだ。橋本与志夫みたいな人がいるのだ。美しいその踊り子の…・・・って、でも結局それハダカじゃん? 全裸じゃん? 西原理恵子先生的にいえば「毛だわし」じゃん? アートである前にリビドーじゃん? 何が「ほほぅ」だ、って話ですよ。
というわけでわからん。私にはストリップの魅力はわからん。わかる必要があるのか、という問題はあるが。かくなる上は、一度観に行く必要があるのかもしれない。純粋な探究心として。きっと、客層とかすげぇ濃ゆいんだろうなぁ。踊り子にプレゼントとか普通に渡す常連とかいるんだろうなぁ。勿論「そういうこと」のネタにはしない(っていうかできないだろう)が、ブログのネタとしては結構魅力的かもしれない。まぁ、多分現実問題として行かないだろうが、中央図書館に行ったとき、浜劇が潰れずに存続している限り、私は疑問を抱き続けるだろう。いや、行かないけど。お、でも学割とかあるのか。ほほぅ(←ちょっと乗り気なんじゃねえか)。




「鑑賞してレポート希望」という声が多かったら考える。人気blogランキング

*1:さくらももこと、彼女の前夫・宮永正隆の覆面ユニット。

*2:当時の関係者へ。藤繭ゑさんはストリッパーを引退して、いまは「藤野羽衣子」という名前で幅広く活躍中らしいですよ。http://www.mc.megafit.net/~yamadaer/GYPSY%20ROSE.html(リンク先にアダルトな画像や表現はありません)。