エーゲ海に捧ぐ

何度かここで語っているが、私が初めて行った海外旅行はギリシャだった。いわゆる卒業旅行というやつで、ギリシャ語はもちろん英語だってろくに喋れないのに、おまけに初めての海外だというのに、一人旅だった。わがままで協調性がなく団体行動がキライなので、必然的にこうなるのだ。
で、本土から足を伸ばしてクレタ島に日帰りで行った。美しいエイジアン・ブルーのエーゲ海を眺め、ケバブを齧り、クノッソス宮殿を訪れた。ヴェニゼル広場という、街の中心に位置する広場の噴水のところでバスを待っていると、レストランの客引きがしつこく話しかけてくる。「日本人か?」「腹は減ってないか?」「よかったらうちで食べて行け」。気持ちはうれしいが腹は減っていなかったし、こういう客引きはあまり信用しないほうが安全(一人旅だし)なので適当にあしらっていた。やがて客引きは諦めてどこかへ去っていった。
と思ったら、再び彼は私のところに戻ってきた。曰く「日本語で『美味しい』というのは何というのか?」。私は答えた。
もしあなたが、クレタ島イラクリオンの、モロシニ噴水の近くに、日本語で「イラッシャーイ、ウチノ店ハ、超カユイヨー。高クナーイ、安ーイ。デモカユーイ」と客引きするレストランを見つけたら、それは私がクレタに残してきたささやかな置き土産。




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