ご用心ご用心

昨日、ラジオの生放送を終えて23時30分頃帰宅したら、両親がいない。そういえば夜から近所の人とスーパー銭湯に行くとか行かないとか言っていた。というわけでだらだらネットをしながら待っていると、一時間ほどで戻ってきた。
私が「遅かったね」と声をかけようとしたら、母親はなぜか浴衣姿だった。
「何、その格好?」
「……やられちゃった」
「何を?」
「板の間稼ぎ」だって。
着ていた服からスカートから下着から、全部そっくり持っていかれてしまったのだという。幸い、財布は入れていなかったのだが、携帯電話は持ち去られていたそうだ。ちなみにその脱衣場のロッカーは100円玉を入れると鍵が抜け、鍵を入れて回せばまた100円玉が戻るタイプのものだった。そう、母がロッカーに財布を入れていなかったのは財布を家に忘れてきていたからであり、財布がなければ当然鍵を利用するための100円玉など入れようがない。少しの時間なら大丈夫だろうと思い鍵をつけっぱなしにしたロッカーに服などを入れておき、盗まれてしまったのだ。気の毒ではあるが、自業自得なので仕方がない。すぐに携帯電話を止めて警察を呼び、そのままでは着るものがないので銭湯の浴衣とアンダーウェアを借りて帰ってきたというわけである。母はだいぶ凹んでいた。油断も隙もない話だ。
ちなみに昨年の9月、伊豆に旅行に行ったときも同行の友人・Sさんが板の間稼ぎにあった。深夜、我々の一団が露天風呂に入っていると、風呂に面したガラス戸の向こうの脱衣場で、おっさんが着替えている。もう時間も遅かったので、風呂場には我々以外はそのおっさんしかいなかった。おっさんは、年齢に似合わずサッカー日本代表のユニフォームタイプのTシャツを、もそもそと身に着けようとしていたが、Sさんも同じシャツを着て来ていた。みんなで暢気に「あぁ、あのおっさんも同じシャツ持ってるんだね」などと話していると、誰かが「いや、あれ、Sのでしょ」という。しかし、まさか目の前で堂々とそんなことが行われているとは普通思わないし、当のSさんも「うーん、似てるけど違うような気がする。偶然持ってたんじゃない?」というので、若干訝しく思いながらも我々は一部始終を見届けていた。だが、おっさんが身に着けようとしているものは寸分違わずSさんのと同じ中村俊輔のものであり、しかも奴は後ろ前に着ている(自分の服だったら後ろと前の区別ぐらいわかるだろう)のである。これはいくらなんでも絶対におかしい、と一同は風呂から飛び出し脱衣場に向かったが、タッチの差でおっさんは消えてしまっていた。金目のものや携帯は部屋においてあったので被害はなかったが、このときもシャツ、パンツ、下着、タオルに至るまでそっくりやられていた。
結局、手分けして探してそのおっさんを見つけ出し(「酔っ払っていたから」などと言い訳をしていた)、Sさんに衣類を返させた。無事、服は戻ってきたが、Sさんはさすがに下着までは取り戻さなかった。今では笑い話だが、そのときは皆、かなり気分悪くなったものだった。しかし、目の前で堂々と犯行に及ぶなんて厚かましい板の間稼ぎもいたものである。それを結果的に指をくわえて見ていた我々もどうかと思うが、さっきも書いたようにまさかそんなことが眼前で起こるなんて普通思わない。でも、それを疑わなくてはならない世の中ということなのだろうか。
というわけで半年あまりの間に、身近で2人も板の間稼ぎに遭う人が出てしまった。世知辛い世の中であります。皆さん、お互い気をつけましょう。




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