児玉さんの思い出

明日の『笑っていいとも!』のテレフォンショッキングのゲストは児玉清さんなんだって。
最近、児玉さんがアツい。ご本人が、ではなく児玉さんを取り巻く環境というか雰囲気がだ。言うまでもなく、直接の発端は博多華丸の「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」やR-1などでのモノマネの披露だろう。それ以前からも関根勤などが児玉さんのマネをしていたが、博多華丸の絶品ともいうべき完成度の高い(それ故に爆笑モノの)芸が、いま静かに来ている「児玉ブーム」のきっかけであることに異論はなかろう。あの「アタック、チャーンス!!」(握った拳を前後にユラユラ)、「『嘉納治五郎』、お見事!」「あ〜、そっちいっちゃったか*1」などのおなじみの場面は、たとえ『アタック25』を見たことがない人でもどこかで見聞きしたことがあるだろうし、他のバラエティ番組でも最近よくネタにされるようになってきた。この、30年間変わらぬスタンス、口調、一般出場者との紳士的なやり取り、勝負の白熱する場面での的確な解説・実況が魅力なのは言うまでもない。児玉さんがここに来て、若者やバラエティ番組に迎合して突然ご自分の芸風を変えたわけではない。児玉さんはいつでも、いつまでも、真面目でやさしく、ダンディなのだ。それを我々が「再発見」しただけのことなのである。
そんなわけで、いま合コンっぽい席で「俺、『アタック25』出たことあるよ」とか「児玉清に会ったことあるよ」というと、確実に女性にはウケるだろう。従来は「へー、クイズ王なんだ」とか「いくらもらえたの?」的なリアクションぐらいしか女性からは帰ってこなかったが、今では「えっ、じゃああれ見た、『アタックチャンス』!?」とか「『そのとおり!』って言われた?」とか「アメは? アメ」(そんなディープな女性はあまりいないか)的な、ちょっと食いつきいいリアクションが来るはずだ。むふふ、『アタック』出といてよかったなぁ。
そう。何度か書いているが、私は今から8年ほど前、大学生のとき『アタック25』に出た。それもabarehaccyakuさんと一緒に出た。それ以前に何度かサークルの仲間が出場するのの応援に行ったことはあるが、解答者席に座ったのは初めてで、そして今のところ最後である。
赤の席に座った私(abarehaccyakuさんは白)は、本番前の緊張した雰囲気に飲まれそうになっていた。何度も『深呼吸して』(渡辺満里奈)気持ちを落ち着けようとしていると、児玉さんはすらりとしたダークスーツに身を包んで現れた。
「おおー、児玉さんだ」。会場の空気が変わる。そしてそのまま、早押しのリハーサルに突入する。
出たことがある方はおわかりだろうが、何人かでいっせいにボタンを押すリハーサルと、一人ひとり個別に問題が出され、わかったところでボタンを押してパネルの取り方を練習するそれがある。後者のリハーサルで私は「ウイスキー」という解答(問題は忘れた)をした。すると児玉さんは「お、一斗くんはなかなかいい声をしているね。もう一回、答えを言ってみてくれるかな」という。私は「そうですか? えー、『ウイスキー』」などと、さっきよりちょっと気取った声で答えた。クイズマニアであろうとそうでなかろうと、一般出場者が本番前にガチガチに緊張するのは同じこと。もしかしたら児玉さんは、そんな私の緊張を見抜いてあえて声をかけてくれたのかもしれない。これでだいぶ気が楽になったことを覚えている。
また、最近もやっているのかわからないが、リハーサルでは必ず児玉さんに関する3択クイズが出される。「児玉さんが最近見て感動した映画は次のうちどれでしょう? 『免許がない!』、『北京原人 Who are you?』、『悪魔の毒毒モンスター』」といった具合だ。これは、どれを答えても児玉さんは正解にしてくれるので、何を答えてもいい(ヘタすりゃ選択肢にないものを答えたっていい)。私のときに出されたものはこれだった。
「児玉さんがいちばん好きな鍋物は次のうちどれでしょう? かにすき、すき焼き、てっちり」
私は「どれでしょう/」で押し、「てっちり」と答えた。選択肢に「てっちり」があろうがなかろうが知ったこっちゃない。ダンディでリッチな児玉さんが食べるのはてっちりだろう、と決めてかかって押したのだが、本当に選択肢には「てっちり」があった。しかも、それが読まれる前に答えたので、児玉さんは驚くとともに楽しそうに笑っておられた。
そして、本番が始まる。4〜6問目を私が連取し、横にラインを作ったところで一旦カットになった。そのとき、児玉さんは私の解答席までつかつかとやって来られたのだが、私の解答席に置いてあったサークルの後輩からの寄せ書きを目に留めると「ほぉ、すごいね。『一斗先輩へ』か。頑張ってくださいね」とおっしゃった。さっき私の声を褒めてくださったが、私なんかの声より何倍も素敵な声で、児玉さんはそう言ったのだ。
その後、私は6問連続正解とちょっと頑張ってみたのだが、ポンポンと私が答えるので児玉さんのテンションも上がったのか、つい勢い余って私を「一斗ちゃん」と呼んでしまう場面があった(オンエアではカット)。あれはオンエアで残っていないので私の記憶の中にしかない場面だが、あの児玉さんに『アタック25』の本番中に「ちゃん付け」で呼ばれたのは素敵な思い出として残っている。
明日の『いいとも』でも、きっと『アタック25』や博多華丸のことを中心に話題を振られるのだろう。いつまでも素敵でお元気にご活躍なさることを、かげながら願う。そして願わくは、もう一度『アタック25』の解答者として児玉さんに会えることも。今度は児玉さんに、そのいい声で「その人物とは?」と訊いていただけるように頑張りたい。




3回、待ちぼうけ食らってるんだよなぁ。人気blogランキング

*1:これはまだ、TVなどで博多華丸はやっていないような気がする。ノン敬語という、児玉さんのフレンドリーな一面を伝える大事な場面なので、ぜひやってもらいたい。