のび太のおじさんはインドに住んでいた

おそらく、我が家だけでの特別な言い方ではないと信じるのだが、祖父母やおじおばなど親戚のことを指すときに、その家の苗字ではなく、住んでいる場所を冠して呼ぶことがある。というか、そのようにしか、ふつう我が家では呼ばない。
例えば「船橋のおじいちゃん」とか「彦根のおばさん」とかそんな具合である。同居していたり、よっぽど近いところに住んでいない限りはそんなもんだったりしないだろうか。まぁ、下の名前で「のび郎おじさん」みたいに呼ぶ場合もあるけれど。
父方の祖母の姉、つまり私からすれば大伯母だが、その人は埼玉県の浦和に住んでいたので、「浦和のおばあちゃん」略して「うらばあ」と我が家では呼んでいた。ド直球でひねりもなにもない。私と弟は、なんだか妖怪みたいな響きの「うらばあ」という言葉に少し不思議な感じを持ちつつも、特に疑問に思うことなくそう呼んでいた。当然、「うらじい」もいるわけだが彼は僧侶で*1、我々が出向く日曜日は仕事でもあったのか、いつ遊びに行ってもいなくて、私も数えるほどしか会った記憶がない。
「うらばあ」は、私が中学に上がる直前に亡くなった。亡くなる前に、両親と病院に見舞いに行ったことを覚えている。ガンだったということだ。「うらばあ」に先立たれた「うらじい」は、それから半年ほどのち、交通事故で亡くなった。「うらばあ」の後を追うような逝き方だった。
私が「うらばあ」の本名を知ったのは、彼女が逝ったあとである。「うらじい」の本名は、いまも知らない。
今日、両親、祖母と一緒に姪の顔を見に行ってきた。初産を終えた義妹は、割合元気そうだった。目を閉じてすやすやと眠っている姪を見て、いつか私も彼女から、「横浜のおじさん」などと呼ばれるのであろう。ふと、そう考えた。
ってお前、いつまで実家に居座る気やねん。




「でも結局『クイズのおじさん』とか呼ばれる」に100カノッサ。人気blogランキング

*1:「うらばあ」の家は日蓮宗のお寺、というか道場みたいな感じの施設だった。