謎のバイト

会社を退職してしばらくのころのお話。そのときはクイズ作家の仕事もちょうど空いていて、正真正銘の「無職」だったんですけども。失業給付の受給期間も終わり、ちょびっとバイト的なものでもやろうかな、と思ってハローワークに行ったある日のこと。
一応、学生の頃にやっていた経験もあるので、手っ取り早くかつ時給も高そうな塾講師系を中心に検索していたら、ちょっと変わった求人が見つかった。
「小・中学生の国語講師募集」
学習塾などで、教科を限定して講師を募集することはそう珍しくないけれど、普通「国語」限定というのはあまり聞かない(そもそも需要がないだろう)。たいていは数学だの英語だのだ。しかし私は一応国文科卒だし、学生の頃にやっていた塾講師のバイトも(なぜか)中学生の国語だったので、この求人はなかなか興味があった。
だが、この求人が本当に変わっていたのはそこではないのである。応募を検討しようと思った私は、応募先、つまりこの求人を出しているところを見た。するとそこは、学習塾でも家庭教師派遣業者でも個別指導教室でもなかった。
「問い合わせ先  ○○建設」
…建設? 
なんで? 建設会社って普通、家とか建物とか造るんでしょ? なんで国語教えるの?
検索端末の画面の前でしばし固まり、私はなぜ建設会社(むろんゼネコンではなく、街中の工務店に毛が生えた程度の会社だった)が講師(しかも国語限定)を募集しているのかを考えてみた。しかし、明確な答えは出なかった。
出ないんなら自分の目で確かめるほかない、ということで興味本位6割、こわいもの見たさ3割で私はその求人に応募した。が、残念なことに書類選考で落とされてしまい、結局「なぜ建設会社が国語講師を?」という謎の答えを自分の目で確かめることはできなかった。
あれから2年の月日が流れた(ってそんな大袈裟な言い方する必要もないが)。いまでもあの建設会社は国語講師を募集しているのだろうか。あるいは、私を押しのけて採用された誰かが、謎に満ちた場所でいまでも小・中学生に国語を教えたりしているのだろうか。興味は尽きない。ウソ。割とどうでもいい。
皆さんなら、この『謎を解け!まさかのミステリー』ばりの難問にどんな答え・仮説を立てますか?




高校の国語科教員免許を持ってます。人気blogランキング