とんかつ屋の味噌汁の「正解」とは

先日、恵比寿のとんかつ屋で昼食にロースカツ定食的なものを食べた。定食なので、当然ご飯に味噌汁などもついてくる。
味噌汁の椀を取ってみると、ごぼうや人参、大根などのとりどりの野菜が入っているのがわかった。そして、しじみなめこのような具は、すぐには見当たらない。
「ははぁ、ここは『豚汁』なんだな」
ときどき、定食に普通の味噌汁でなく豚汁を出すとんかつ屋がある。「『とん』かつだけに『とん』汁を出してみました」みたいな。しかし、私としてはとんかつ屋の味噌汁は豚汁でなくていい、というか豚汁じゃないほうがいい。ずいぶん昔に、篠田一士が随筆で豚汁を出すとんかつ屋について「いささか悪乗り、折角のトンカツの味加減をこわしてしまう」と書いていたが、確かに「豚+豚」はちょっとしつこいというかやりすぎな感があり、別にだからといって「豚汁なんか飲めっかよ!」とは思わないが、とにかくやや興ざめがしてしまう。
箸で汁椀をかき混ぜてみると、果たして肉片も浮かび上がってきた。ああ、やっぱりか。本当は違うのが有難かったんだけどな。そこそこいい値段取ってるからサービスのつもりなんだろうけどな。まぁいいか。などと思ってひと口すすって、具も食べてみたところではたと気がついた。この肉片は、豚肉じゃなくて鶏肉だ。
「…けんちん汁だったのか」
うーん、ビミョー。豚汁ではなかったけどもなぁ。実際に食べてみたらそこまで悪くはなかったけど、やっぱり、とんかつがそれなりにボリュームがあって油で揚げてある以上、味噌汁にはオアシス的な役割を果たしてもらえればそれでいいような気がする。味噌汁にまで「肉」要素は求めなくていいと思う。
などと考えて、とんかつ屋さんの味噌汁の「正解」ってなんなんだろう、とふと思った。個人的には白だしよりも赤だし、しじみよりはなめこかなんかがいいような気がするのだが、このへんは異論が出そうである。「バカ、断然しじみだろ」とか「意外とじゃがいもが合うんだって」とかね。難しいもんだ。ヒレかロースか以上の大問題ですよ。




恵比寿ガーデンプレイスの「武蔵」というお店でした。美味しかった。人気blogランキング