胡椒という呼称

私は、ゆず胡椒が好きです。
私がやっている某番組のリスナーさんならば、「ゆず胡椒」と聞けばすぐ「マヨネーズ」もセットで思い浮かべることと思いますが、「ゆず胡椒マヨネーズ」で食べる野菜スティックはカンタンでおいしくて、お酒のつまみにもってこいなのでぜひ一度お試しあれ。
現物を目にするまで、私はゆず胡椒というのは、ゆずの果汁かなんかと、ブラックペッパーを混ぜ合わせたものだと思っていました。だから、初めて現物を目にして実際に味わったとき「え、これが胡椒なの?」と思ったものです。九州地方出身でない方の中には、私と同じ勘違いをしたことがある方も多いかと思いますが。
むろん、ゆず胡椒はブラックペッパーとは(ホワイトペッパーとも)あまり関係がなく*1、ゆずの果皮のペーストと唐辛子を混ぜ合わせたものです。なんでこれが胡椒なんだ、というと、なんのことはない、九州(の北部)では、唐辛子のことを「胡椒」と呼ぶことが多いからなのだそうです。ならば「じゃあラーメンとかにかける、嗅ぐとクシャミが出る、『ドラクエⅢ』でバハラタの王様に渡して船をゲットする(←このくだりはいらんだろ)あの調味料は何ていうのさ?」という疑問が出てくることでしょう。こちらは特に「洋胡椒」と呼んで区別するのだとか。
なぜ、九州(特に北部)では、唐辛子のことを『唐辛子』って呼ばないと思いますか?
その答え(かもしれない)ものを、先日、ネタ探しの途中に見つけました。嘉永2年に長崎奉行に就任した、内藤安房守忠明の著した『内安録』に、こんなくだりがあるんだとか。

トウガラシは「唐を枯らし」と言ふと同音にて、唐人のおかげで生活をしてゐる長崎人が、唐を枯らしては大変なりとて、故(ことさ)らに忌み憚って胡椒といふ

本当なんでしょうかね? なんかよくできているので、忠明の後づけ・こじつけかも? とも思わされるような理由ですが、まぁ筋は通っています。いまやゆず胡椒といえば福岡というイメージがありますが、この伝を信じるならば、もともとは長崎で「胡椒」と言っていたみたいですね。
関係ありませんが私、以前、人に「一斗を食べ物に喩えるとしたら?」という質問をしたところ(なんか、そういう感じの質問があるバトンだった)「ゆず胡椒」と答えられたことがあります。なんかうまく言えませんが、ちょっとうれしいお答えですね。ゆず胡椒おいしいし(←そういう問題か?)。




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*1:と思ったら、実際に胡椒の実を使って作る「ゆず胡椒」もあるんだとか。詳しくは知らないんだけど。ご存知の方、教えてください。