学問のすゝめ

先日、『旧制中学入試問題集』という本を買った、というエントリを書きましたが。
http://d.hatena.ne.jp/Chatterton/20070926
読んでみて、いろいろと面白い入試問題を発見したのですよ。算術の問題で軍艦の長さをメートル法から尺貫法に換算させたり、地理の問題で熊本は第何師団の所在地であるかを答えさせたりなど、時代を感じさせる問題が次から次へと。
特にグッときたのが、1925(大正14)年の東京府立第七中学校(現 都立墨田川高校)の歴史(国史)の問題。

問.我が国が明治二十七八年戦役(一斗註.日清戦争)や同三十七八年戦役(一斗註.日露戦争)に勝つことが出来たのは、なぜですか。




























答.天皇御稜威

どうですか。あまりのド直球ぶりに笑いましたよ私は。違う答えを書いた日には落第を覚悟しなければなりません。もっとも、この問題の答えがこれになる、ちゃんとした、れっきとした根拠はありますよ。それは「教科書にそう書いてあるから」です。ドドーン。この当時の入試問題は、ほとんどが教科書に準拠した(あるいはほぼそのまんま)の出題となっていまして。なので、教科書の内容を書けば正解になる、逆に言えばそれを書かなくては正解にならないわけです。たとえば国語。かなで記されたことばを漢字に直す問題なんぞは、容赦なく同音異義語のあることばが出題されています。「セイトウ」とあっても「政党」なのか「正当」なのか「精糖」なのか、いずれにせよ「教科書に書いてある・出てくる」ものを書かなきゃいけない(それが正解として求められる)みたいなのです。「次の文章の空欄を埋めよ」なんか、教科書を読んでなければ一生考えたってわかりません。
ちなみに「御稜威」ですが「ごりょうい」とは読みませんよ。これの読み方を問う問題は、当時の国語では頻出でした。
あと、「○○にて候」「××いたしたく候」といった、硬めの文章(「候文」といいますが)を、女性らしい、やわらかい口語の言い回しに書き直せ、という問題で、東京府立第八高女(現 都立八潮高校)のものが紹介されているのですが、やはり女学校らしく、問題文が「次の候文を女らしい言葉づかひの口語の手紙に書きなほしてごらんなさいとなっているのが微笑ましかったです。こういう書き方なら、難しい試験にも、ちょっとはやる気が出る……かな?




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