僕たちのイタリア料理

私は殻付きのエビとか、ムール貝が苦手である。前者は面倒くさいから(剥かれているエビは平気)、後者は味があまり好きでないからだ。それゆえ、パエリアとかブイヤベースはちょっと困ってしまう。しかし、さらっと「パエリア」とか「ブイヤベース」などと言ってしまったが、いずれも私が子どもの頃には、ほとんどなじみのない、少なくとも家庭の食卓にはめったに上らないメニューではなかったか。
で、こういう話をするとき必ず話題に上るのが、パスタの、否、「スパゲティの世代間較差」問題である。「おじさんの子どもの頃はなぁ、スパゲティといったらミートソースとナポリタンしかなかったよ」みたいなことを若いのに語ったりしちゃうのである。ダメ押しでその若いのに「ミートソースって、ボロネーゼのことですよね?」とか言われて照れ苦笑いもしちゃうのである。それが我々アラフォー以上の流儀なのである。それをなんだ、いまは年端もいかないジャリまで、ペペロンチーノだのアラビアータだのアマトリチャーナだのと当然のようにのたまうではないか。
中学生の頃、どこかで初めてカルボナーラを食べて気に入った私は、後日、別の店でもそれを注文しようとした。しかし、名前がうろ覚えだったので何を注文すればいいかわからない。しかも間の悪いことに、その店のメニューには写真がなかったので、名前で注文するしかない。私は一生懸命思い出そうとした。んーと、えーと…確か途中に長音が入ってて、「○○○○ー○」っていう感じだったなぁ…。
「ご注文は?」
「ペ、ペスカトーレで」
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最近の漫画には、ナイフとフォークが使えないドタバタなんて描かれないんだろうな。人気blogランキング