ご存知の方、いらっしゃいますか?

確か高校生の頃、岩波文庫か何かの「世界の名言集」みたいな本を読んでいて見つけた言葉がある。


「人間が完璧に愛することができるのは、完全に失われてしまったものだけである」


この言葉に出会ったとき、すごくショックを受けた。そのとおりだ、と思ったからだ。人間が完璧に愛することができるのは、完全に失われてしまったものだけ。それ以外のものは全て、愛していると自分が(そしてその対象も)思っていたとしても、ただの「偏愛」か「同情」か「劣情」であり、さもなくば「勘違い」なのだ。
これはマキシムのようであり、エクスキューズのようでもあって、しかしそのどれとも違っていると私は思う。つまり、「それでもなお」なのだ。人間は、完全に失われてしまったものしか完璧に愛することはできないのに、それでもなお、それに抗ってまだ失われていないものを完璧に愛そうとする。初めから負けることがわかっている戦いに挑むように、いま自分のこの手にあるものを、その手にあるうちに愛そうとする。その切ない営為が、人が生きていくことなのだ。そんなメッセージを、その言葉は伝えているように思えた。私がまだ、今よりひと回りほど若かった頃の話である。
ところが残念なことに、肝心のその言葉を言った人の名前を私は忘れてしまった。もともと読んだその本も探してみたけれどタイトルを覚えていなかったので見つけられず、ググってみても探し当てられなかった。確か、フランスの生理学者の言葉であったと記憶している。生理学者というのはちょっと怪しいが、確か理系の人だ。作家や詩人の類いではなかったと思う。
というわけでどなたか、この言葉が誰のものかご存知の方がいらっしゃいましたらどうかお教えいただけませんでしょうか? できれば、で結構ですが出典までわかるととても嬉しいです。もちろん、出典をご存じなくても、言った人の名前だけでも結構です。こちらをご覧ののべ26万の読者様、「日本の頭脳」とも言うべき皆様のお知恵をお貸しくださいませ。




「秘密キッチの穴」では取り上げてもらえそうもないので。人気blogランキング