Sweet tomato

先日、某所で食事(というか飲み)をしていたときのこと。連れの好物だったので冷やしトマトを頼んだ。私はトマトが嫌いではない(まぁ好きな部類である)が、わざわざ自分で冷やしトマトを頼むことはほとんどない。
で、オーダーしたトマトが我々のテーブルにやってきたのだが、妙なことに気がついた。パレット状に二つに分かれた皿の中に、二種類の白い調味料が添えられて出てきたのだ。塩だけなら、別にわざわざ二つに分けて持ってこなくてもよいではないか。
基本的に、私はトマトには塩、もしくはマヨネーズ派だ。というか、それがポピュラーな食べ方ではなかろうかと信じる。なので、この白い調味料も塩なのだろうと思って指先につけて舐めてみた。はたして片方は塩だったが、もう片方は砂糖だった。
「トマトに砂糖!?」
聞いたことはあった。もちろん、自分でやったことはないが、トマトに砂糖をかけて食べるという食べ方があるということ、そのようにして食べる人がいるということは何かで耳にしたことはあった。しかし。
「そんなもん、食えたもんじゃねえんじゃねえの?」。トマト+砂糖の味を脳内で想像してみて、私はぞっとしなかった。とはいえ、そのように食べる人は確かにいるわけだし、せっかく砂糖が出てきたわけだし、この店ではそれがデフォルトらしいし、ということで、まぁ話のタネ的に、砂糖をつけてひと口かじってみることにした。ちょんちょん、ぱくっ。
……あれ? 悪くないぞ。
なんだろう、めっちゃおいしい、というわけではないが、なんか不思議な感じだ。もともと、トマトは非常に「フルーツ感」の強い野菜ではあるが、もう甘いトマトはまんま「果物」である。なんだこれ? なんだこれ? と首を傾げつつ、出てきた砂糖がすっかりなくなってしまうまで食べてしまった。今後、トマトを食べるときにはこのようにして食べよう、とまでは思わなかったが、二度とやるもんか、とも思わなかった。たまにはこういうのもアリかな、ぐらいには感じた。
31歳を目前にして、トマトの新しい食べ方を知った夜であった。食わず嫌いはよくないね、うん。





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