妄想ニホン(?)料理

NHKで毎週土曜の夜にオンエアされている『妄想ニホン料理』という番組をご存じだろうか。
http://www4.nhk.or.jp/mousou/
これは世界のいろいろな国の料理人に、日本料理を、その名前と大ざっぱなヒントだけを頼りに想像(妄想)して作ってもらう、というお料理バラエティである。たとえば「みぞれ鍋」だったら、「『みぞれ』とは『雪まじりの雨』という意味」「とても消化がいい」「専用のタレにつけて食べる」、「お子様ランチ」だったら、「『大切な子どものためのランチ』という意味」「一つの皿にいろいろ乗っている」「旗がささっている」といった具合。こんなムチャなヒントだけでその料理を作る世界中の料理人たちの、想像力の豊かさが毎回見どころである。トンチンカンさに大笑いしてしまうようなものもあれば、「本物」にかなり肉薄した鋭さに唸らされるものもあり、中には、「本物」とはまるでかけはなれているが、絶対こっちの方が美味いだろと思ってしまうようなものもあって、なかなか楽しい。もとより、「正解」を出すのが目的の番組ではないのだが、そこがいい。
さて、番組内でまだ取り上げられていないが、ぜひ海外の料理人に作ってもらいたいメニューがある。それは「中華丼」である(あれも「ニホン料理」だろう、たぶん)。
ヒントとしてはなんだろう。「『中華丼』とは、『中国が乗った丼めし』という意味」「あつあつで、とろとろである」「小さくて丸い食材が、ころっと一つ入っている」ってな具合だろうか。このヒントで、料理人たちがどんなものを作るのか、大変興味深い。個人的に、ただの八宝菜を乗っけたあの丼めしを「中華丼」と呼んでしまう乱暴さが昔から気になっていたからである。
もちろん、作ってもらう料理人に中国の人はマストだろう。どんな解釈をするのだろうか。中国人が考える、「中国」を代表するものって何なのだろう。そもそも、彼らは八宝菜を乗っけた丼めしが日本で「中華丼」と呼ばれていることを知っているのだろうか。やはり興味は尽きない。ちょっとワクワクする。ちなみに学生の頃、中国は天津からの留学生と下世話な中華料理屋で食事をする機会があり、「天津丼」を見せたら「こんなもの見たことないし、知らない」と言われたものだった(「天津甘栗」は向こうにもあるらしい)。
ここまで書いていて、はたと思いついたのだが、もし世界のどこかで「ニッポン丼」なるメニューが勝手に考案されていたら、それにはいったい何が乗っているのだろう? スキヤキ? それじゃただの牛丼だ。テンプラ? いや、それは天丼だ。スシ? それは普通「海鮮丼」とか「ばらちらし」という。なんだなんだ? 気になる。
実は『妄想ニホン料理』では、特別企画で、海外の料理を日本の料理人が名前とヒントだけを頼りに作ることがある。いつの日か、「ニッポン丼」という難問が日本の料理人たちに突き付けられることはあるのであろうか。楽しみだ。



関係ないけど、おととい中華丼を超ひさびさに食べた。人気blogランキング